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情動脱力発作を伴うナルコレプシー


情動脱力発作を伴うナルコレプシーは日中の過度の眠気と情動脱力発作が特徴的な症状です。視床下部において、神経ペプチドであるオレキシン(ヒポクレチン)含有神経細胞がおよそ50,000から100,000個消失すると本疾患を発症することが示唆されています。オレキシン(ヒポクレチン)の消失は脳脊髄液中のオレキシン1(ヒポクレチン1)を測定することで判定可能です。本患者のおよそ90%およびHLA DQB1*0602(ヒトの白血球抗原型)をもつ人のほとんどにおいて脳脊髄液中のオレキシン1濃度の劇的な低下が認められます。本疾患はHLAと相関するため、自己免疫疾患によるオレキシン(ヒポクレチン)神経細胞の破壊が原因という仮説が提唱されています。


診断基準 (ICSD-2)
  1. 日中の過度の眠気がほとんど毎日すくなくとも3ヶ月間にわたりみられる。

  2. 「情動に伴って起こる突然で一時的な筋緊張の喪失」で定義される情動脱力発作の明らかな発現が認められる。

    注:情動脱力発作と診断するためには、強い情動(大笑いや冗談など)が引き金となる必要がある。その症状は両側性で一時的(2分未満)である。意識は保たれている(すくなくともエピソードの始まりの自覚がある)。情動脱力発作時に深部腱反射の消失が認められるが、診断時に確認できる機会は低い。

  3. 可能であれば、反復睡眠潜時検査(MSLT)と終夜睡眠ポリグラフ検査を実施するとよい。 十分な夜間睡眠(最低6時間)後のMSLTによる平均睡眠潜時が8分以下で入眠時レム期の出現が2回以上認められる。あるいは、脳脊髄液中のオレキシン1(ヒポクレチン1)濃度が110 pg/mL以下あるいは平均正常値の3分の1以下である。

    注:MSLTにおける2回以上の入眠時レム期の出現は、本疾患に極めて特異的な所見である。一方で平均睡眠潜時8分未満は正常人のおよそ30%以上に認められる。脳脊髄液中のオレキシン1濃度の低下(110 pg/mL以下あるいは平均正常値の3分の1以下)は、本患者の90%以上に認められるが正常群や他の原因による疾患ではほとんど認められない。

  4. 過眠の症状は、他の睡眠障害、内科疾患、神経性疾患、精神疾患、薬物の服用、薬物乱用などで説明することができない。

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