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睡眠(行動)習慣によって引き起こされた睡眠不足症候群

Behaviorally induced insufficient sleep syndrome


基本的な特徴

睡眠不足症候群とは、日中の正常な覚醒状態を維持するために必要な夜間睡眠が慢性的に不足しているために、日中の過度の眠気、集中力の低下、活力の低下などが生じる睡眠障害です。睡眠障害国際分類第2版(ICSD-2)では、睡眠(行動)習慣によって引き起こされた睡眠不足症候群(Behaviorally induced insufficient sleep syndrome)という疾患として定義されています。

患者は、故意ではないが自発的に慢性の睡眠不足状態を続けています。身体機能の検査では、眠気の原因を説明できるような機能異常を認めることができません。最近の睡眠パターンを調べると、身体が必要とする睡眠時間と実際の睡眠時間との間に乖離が認められ、そのことを患者が認識していません。週末や休日には、平日と比べて睡眠時間が長いことも本疾患の特徴です。


随伴症状

慢性化や睡眠不足の程度によって、いらいら感、集中力の低下、活力の減退、注意散漫、意欲の低下、無反応、不快、疲労感、落ち着きのなさ、協調性の欠如、倦怠感などが出現することがあります。このような二次的な症状が患者の関心事となりやすいため、根本的な原因を明らかにすることを難しくさせる要因になっています。

精神的にも身体的にも健康な人でも慢性的な睡眠不足になれば、日中に眠気を感じるのは当然のことです。個人の環境が十分な睡眠を得ることを不可能にさせていることもあります。患者自身が自分の症状の原因が睡眠不足にあることに気づいていない場合を除いて、本疾患と診断してはいけません。


診断基準 (ICSD-2)
  1. 過度の眠気の訴え、または思春期前の子どもにおいて眠気を示唆する行動異常の訴えがある。異常な睡眠パターンは、少なくとも過去3ヵ月間においてほとんど毎日認められる。

  2. 患者の睡眠習慣を患者からの問診、睡眠日誌、あるいはアクチグラフなどによって立証でき、年齢で補正された正常な睡眠時間よりも睡眠時間の短いことが認められる。

    注:長時間睡眠をもつ患者の場合は、普段の生活における睡眠時間は正常範囲かもしれないので、注意が必要である。

  3. 普段の睡眠スケジュールを必要としないとき(例えば週末や休暇など)には、普段よりもかなり長い睡眠をとる。

  4. 診断の目的で睡眠ポリグラフを行う場合(睡眠ポリグラフは診断に必要ではない)は、睡眠潜時が10分よりも短く、睡眠効率は90%よりも高い。入眠時レム期(SOREMPs)の有無にかかわらず、反復睡眠潜時検査(MSLT)による平均睡眠潜時は8分より短いかもしれない。

  5. 過眠の症状は、他の睡眠障害、内科疾患、神経性疾患、精神疾患、薬物の服用、薬物乱用などで説明することができない。

鑑別診断

本疾患は、ナルコレプシーや他の過眠症と混同されてしまう恐れがありますので注意が必要です。なぜならばMSLTの異常(2回以上のSOREMPでさえも)は、急性あるいは慢性の睡眠断眠によっても生じるからです。思春期や若年において、特に頻繁な混同が見受けられます。本疾患と同様に日中の眠気あるいは夜間睡眠の短縮などを呈する以下のような疾患との鑑別が必要です。環境因性睡眠障害、精神生理性不眠症、感情障害、睡眠関連呼吸障害、ロングスリーパー、ショートスリーパー、概日リズム睡眠障害、周期性四肢運動障害、ナルコレプシー、特発性過眠症など。睡眠時間を増やすことにより、症状の好転が認められれば、本疾患の診断材料となります。

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