ナルコレプシーのダイエット療法

ナルコレプシー患者の日中の過度の眠気は、モディオダールやリタリンなどの薬が有効ですが、それでも眠気が改善されない場合もあります。ナルコレプシー患者の睡眠―覚醒サイクルにおけるダイエットの影響に関しては、詳細な研究がされていません。本研究では、低炭水化物ケトン体産生ダイエット(low-calbohydrate, ketogenic diet: LCKD)の影響を、最適な用量による薬物療法を行っているBMI 20以上のナルコレプシー患者で検討されました。

栄養管理指導下において、被験者の1日の炭水化物摂取量を20g以下に制限しました。試験期間中は、処方している薬の服薬用量を一定に保ちました。眠気の評価は、3種類の自己評価質問票、すなわち Narcolepsy Symptoms Severity Questionnaire(NSSQ)、Epworth Sleepiness Scale (ESS)、Stanford Sleepiness Scale (SSS)をダイエット食開始前、2週間後、4週間後および8週間後に実施しました。ダイエット食を厳守しているかどうかの確認は、被験者の自己申告と尿中のケトン体の測定で行いました。

被験者は9名(男性8名、女性1名)で、平均年齢は47.6歳、7名がアフリカ系アメリカ人で2名が白人でした。試験開始前の平均体重は100.9±19.8kg、平均BMIは32.8±6.9でした。1名の患者が試験開始4週間後にダイエット食を続けることができずに脱落しました。

結果ですが、ダイエット食開始8週間後のNSSQの総スコアにおいて有意な減少が認められました。さらには下位項目であるNSSQ-過眠、NSSQ-睡眠発作、NSSQ-睡眠麻痺においても有意な減少が認められました。NSSQ-カタプレキシーとNSSQ-鮮明な夢(Vivid dream)には有意な影響がありませんでした。また、ESSとSSSの得点の有意な変動はありませんでした。

試験中において重篤な副作用は認められませんでした。4名の被験者において、一時的な副作用(頭痛、こむら返り、いらいら感、集中困難)が認められましたが、試験を中断するほどのものではありませんでした。また、日中の眠気が強くなった被験者はいませんでした。

本試験結果を考察する上で、MSLTを実施していないことは留意する必要があります。また、体重減少が日中の活動性に好影響を与えた可能性があることも否定できません。しかしながら、血糖値が減少するとオレキシン産生細胞の活動性が亢進することが知られており、LCKDの有用性は非常に興味深いものであり、さらなる研究が望まれます。
(Husain et al., Diet therapy for narcolepsy. Neurology 2004; 62: 2300-2302)

(補足)
この実験成績はオレキシンとの関連性を考える上でも大変興味深いですが、ナルコレプシーの評価に用いた尺度がオーソライズされたものではないため、さらなる研究結果が待ち望まれます。

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