睡眠の最新研究論文
情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者のBMI非依存性メタボリック変化


(目的)
情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者のオレキシンA欠乏がメタボリックシンドロームのリスクになっている可能性を調べることを研究目的としました。

(方法)
情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者と長時間睡眠を伴わない特発性過眠症患者による横断的研究をデザインしました。当該大学病院に受診した14名の情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者と、年齢及び性別を合わせた14名の長時間睡眠を伴わない特発性過眠症患者の同意を得て、研究の被験者としました。

メタボリックの指標として、Body Mass Index(BMI)、腰回りの周径(必要に応じて腹部コンピューター断層撮影も実施)、血圧、1日のカロリー摂取量を測定を行いました。クロノタイプ(chronotypes)はthe morningness-eveningness questionnaireで評価しました。脳脊髄液中のオレキシンA濃度の測定とHLA型の同定を行いました。

(結果)
脳脊髄液中のオレキシンA濃度の測定とHLA型の同定を行いました。情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者はすべてHLA DQB1*0602陽性であり、脳脊髄液中のオレキシンA濃度は110pg/mL以下でした。長時間睡眠を伴わない特発性過眠症患者群のオレキシンA濃度は300pg/mL以上でした。

特発性過眠症群と比較してナルコレプシー群ではBMI値がより高く、BMI非依存性のメタボリック変化(high-density lipoprotein cholesterolおよび glucose/insulin ratio を指標)が認められました。ナルコレプシー患者群では、1日のカロリー摂取量が低いケースにおいても、その半数以上においてメタボリック変化が進んでいました。

(結論)
長時間睡眠を伴わない特発性過眠症群と比較して、情動脱力発作を伴うナルコレプシー群では、BMI非依存性メタボリック変化が認められました。しかしながら、1日のカロリー摂取量は、ナルコレプシー群の方が相対的に少ないという結果でした。これらのことから、ナルコレプシー患者で認められたメタボリック変化のフェノタイプの発症には、脳脊髄液中のオレキシンA濃度の減少が関係していると思われました。この代謝異常は若年のナルコレプシー患者においても認められたため、ナルコレプシーと診断された患者においては、メタボリック変化について注意深いフォローアップが必須と考えます。

(Poli Fet al: Body mass index-independent metabolic alterations in narcolepsy with catalexy. Sleep; 32:1491-1497, 2009)


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