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ブラジルのサンパウロ連邦大学の過眠症外来患者のHLA-DQB1*0602陽性率の調査


(背景)
ナルコレプシー患者ではHLA-DQB1*0602陽性率が高いことが知られています。一般人口におけるHLA-DQB1*0602陽性率は、白人でおよそ25%、日本人でおよそ12%、アフリカ系アメリカ人でおよそ38%です。しかしながら白人において、情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者のおよそ95%(日本人ではほぼ100%)がHLA-DQB1*0602陽性です。白人における情動脱力発作を伴わないナルコレプシー患者のHLA-DQB1*0602陽性率は40〜50%とされています。

このようにナルコレプシーでは、一般人口と比較してHLA-DQB1*0602陽性率が極めて高いことが判明しています。

(目的)
私たちが勤務しているブラジルサンパウロ連邦大学では、HLA-DQB1*0602型の同定を日常診療で実施していません。そこで、情動脱力発作を伴うナルコレプシー、情動脱力発作を伴わないナルコレプシーおよび長時間睡眠を伴う特発性過眠症と診断されたサンパウロ連邦大学の外来患者を対象としてHLA-DQB1*0602陽性率を調べました。

(方法)
ICSD2の診断基準に基づいてナルコレプシーまたは特発性過眠症と診断された68名の患者、ならびに23名の健常者を被験者としました。過眠症の内訳は、情動脱力発作を伴うナルコレプシー43名、情動脱力発作を伴わないナルコレプシー11名、特発性過眠症14名です。被験者全員に対して、HLA-DQB1*0602の遺伝子型の同定を行いました。

(結果)
HLA-DQB1*0602陽性/陰性は、健常者で4/20、情動脱力発作を伴うナルコレプシーで29/14、情動脱力発作を伴わないナルコレプシーで6/5、および特発性過眠症で6/8でした。これらすべての過眠症疾患において、健常コントロール群よりも統計的に有意に陽性率が高いことが認められました(それぞれ、p値が0.0001以下、0.03および0.04)。

(結論)
今回の結果は、小規模サンプルによるものであることを考慮する必要がありますが、今までに他の人種で報告されていた結果と類似していました。すなわち、情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者におけるHLA-DQB1* 0602陽性率は、健常コントロール群と比較して顕著に高いことが認められました。
(Coelho FM et al. Prevalence of the HLA-DQB1*0602 allele in narcolepsy and idiopathic hypersomnia patients seen at a sleep disorders outpatient unit in Säo Paulo. Rev Bras Psiquiatr 31: 10-14, 2009)


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