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中枢性過眠症では脳脊髄液中のヒスタミン量が減少している

(目的)
先の研究でナルコレプシー患者の脳脊髄液中のヒスタミン量が低下していることを見出されましたが、その結果を別の被験者群で再現することと、その他の過眠症における脳脊髄液中のヒスタミン濃度の変動を調べることを目的としました。

(方法)
67名のナルコレプシー患者、26名の特発性過眠症患者、16名の閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者、および73名のコントロールによる横断的研究を実施しました。被験者はすべて日本人で、診断は睡眠障害国際分類第2版の基準に従いました。

(結果)
コントロール群の脳脊髄液中のヒスタミン量は333.8±22.0 pg/mLでした。コントロール群と比較して、情動脱力発作を伴うナルコレプシーでヒポクレチン(オレキシン)の低下が認められる患者(176.0±25.8pg/mL)、情動脱力発作を伴うナルコレプシーでヒポクレチンの低下していない患者(97.8±38.4pg/mL)、情動脱力発作を伴わないナルコレプシー患者(113.6±16.4pg/mL)、および特発性過眠症患者(161.0±29.3pg/mL)の脳脊髄液中のヒスタミン量は有意に低値を示しました。一方、閉塞性睡眠時無呼吸症患者の脳脊髄液中のヒスタミン量(259.3±46.6pg/mL)はコントロール群と差がありませんでした。

脳脊髄液中のヒスタミン量の低値を示した患者のほとんどが薬物治療を受けていませんでした。未薬物治療群でみると、ヒポクレチンが低下している情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者の脳脊髄液中の平均ヒスタミン量は112.1+16.3pg/mL、特発性過眠症では143.3±28.8pg/mLと有意に低い値でしたが、薬物治療を受けている患者では正常範囲に含まれる値を示していました。

(結論)
ヒポクレチンの低下が認められる情動脱力発作を伴うナルコレプシーでは、脳脊髄液中のヒスタミン量が減少していることが確認されました。さらには、ヒポクレチンが低下していないナルコレプシーや特発性過眠症においても、同程度のヒスタミンの減少が認められました。その一方で、非中枢性の過眠症である閉塞性睡眠時無呼吸症候群では脳脊髄液中のヒスタミン量に変化がありませんでした。これらのことから、脳脊髄液中のヒスタミン量は中枢起源の過眠症の状態を反映するバイオメーカーとなり得る可能性が示唆されました。
  (Kanbayashi T et al. CSF histamine contents in narcolepsy, idiopathic hypersomnia and obstructive sleep apnea syndrome. Sleep 32: 181-187, 2009)



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