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ナルコレプシーでは脳脊髄液中のヒスタミン量が減少している

(目的)
本研究では、ナルコレプシー患者の脳脊髄液中のヒスタミン量の変動について、健常コントロールと比較検討されました。また、脳脊髄液中のヒポクレチン(オレキシン)濃度を測定し、オレキシンとヒスタミンの関連性も検討されました。

(方法)
睡眠障害国際分類第2版の基準に適合する情動脱力発作を伴うナルコレプシーと情動脱力発作を伴わないナルコレプシーで脳脊髄液中のヒポクレチン1濃度を参照できる被験データをスタンフォード大学のナルコレプシーに関するデーターベースからセレクトしました。年齢と性別を適合させた3群、すなわち脳脊髄液中のヒポクレチン1濃度が低値であるナルコレプシー群(n=34、すべての患者に情動脱力発作あり)、脳脊髄液中のヒポクレチン濃度が低値ではないナルコレプシー群(n=24、75%の患者に情動脱力発作あり)、健常コントロール群(n=23)に分類しました。脳脊髄液中のヒポクレチン1の低値判定は、110pg/mL以下(平均正常値の1/3)としました。脳脊髄液中のヒスタミン濃度は蛍光検出HPLCを用いて測定しました。

(結果)
脳脊髄液中のヒポクレチン1濃度が低値であるナルコレプシー群、脳脊髄液中のヒポクレチン濃度が低値ではないナルコレプシー群、および健常コントロール群の脳脊髄液中のヒスタミン濃度は、それぞれ133.2 ± 20.1 pg/mL、233.3 ± 46.5 pg/mL、および300.5 ± 49.7 pg/mLと3群間に有意な差が認められました。

(結論)
ナルコレプシー患者では脳脊髄液中のヒスタミン量が減少していることが判明しました。この減少の程度は、脳脊髄液中のヒポクレチン1が低下している患者ほど顕著でした。ヒスタミンは覚醒促進物質として知られています。ナルコレプシー患者で認められた脳脊髄液中のヒスタミン量の減少は、病態としての日中の眠気と関係している可能性が示唆されました。
  (Nishino S et al. Decreased CSF histamine in narcolepsy with and without low CSF hypocretin-1 in comparison to healthy controls. Sleep 32: 175-180, 2009)



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