睡眠の最新研究論文
パーキンソン病患者の睡眠発作は治療薬によるドパミンD3受容体の長期的活性化とオレキシン神経伝達の低下が関与しているかもしれない

(背景)
睡眠発作を呈するパーキンソン病患者は決して多くはありませんが、患者の日常生活を大きく損なうため臨床的には重要な問題です。パーキンソン病治療薬によるドパミン受容体、特にD3受容体の長期的な活性化が原因の一つと考えられています。最近の研究から、パーキンソン病患者の睡眠発作はナルコレプシーと同様に視床下部のオレキシン神経系の障害が関与している可能性が示唆されています。しかしながら、オレキシンとドパミン受容体の長期的な活性化との関係については明らかにされていません。

(目的)
パーキンソン病患者の睡眠発作と脳脊髄液中のオレキシン濃度の関連性、およびドパミンD3受容体の長期的活性化との関連性について調べることを目的としました。

(方法)
25名のパーキンソン病患者を被験者とし脳脊髄液中のオレキシン濃度を測定ました。日中の過度の眠気を有する患者は9名、睡眠発作を有する患者は4名でした。睡眠発作を有する4名の患者において、D3受容体活性化作用のある治療薬から選択的なD1/D2受容体アゴニストであるペルゴリドに切替え、その後の睡眠発作と脳脊髄液中のオレキシン濃度を調べました。

(結果)
25名の被験者の脊髄液中のオレキシン濃度の測定により、より罹患期間が長い患者、睡眠発作を有する患者においてオレキシン濃度が低くなることが認められました。睡眠発作を有する4名の患者の治療薬をペルゴリドに切替えることにより、オレキシン濃度の増加と睡眠発作の完全な消失が認められました。

(結論)
小規模の症例による研究にもかかわらず、パーキンソン病患者における睡眠発作の発現はオレキシン神経系の伝達低下と関連していることが示唆されました。さらには、D3受容体の活性化をさせない治療方法の切り替えによりオレキシン濃度の増加と睡眠発作発現を抑えることができるかもしれません。
  (Asai H, et al.: Cerebrospinal fluid-orexin levels and sleep attacks in four patients with Parkinson's disease. Clin Neurol Neurosurg, Dec 20 online, 2008)



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