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軽度の閉塞性睡眠時無呼吸でさえも心血管系に対して危険性がある

(背景)
中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸は内皮細胞機能不全との関連性が知られており、動脈硬化や高血圧を発症するリスクが高まります。しかしながら日中の過度の眠気などの症状がほとんど認められない軽度の閉塞性睡眠時無呼吸と血管機能障害との関連性は知られていません。

(目的)
日中の過度の眠気やその他の日中の症状が認められない閉塞性睡眠時無呼吸と血管機能障害との関連性を調べることを目的としました。

(方法)
日中の過度の眠気やその他の日中の症状が認められない睡眠時無呼吸(酸素飽和度低下指数:23.1±15.6、エプワース眠気尺度:8±3.8)を有する64名(男性57名、女性7名)と15名のコントロールを被験者としました。内皮細胞機能は超音波検査による血流依存性血管拡張反応(Flow-mediated dilatation、以下FMD)およびトノメトリ法による脈派解析による動脈硬化の度合い(AI)を調べました。

(結果)
閉塞性睡眠時無呼吸群では、FMDが健常コントロール群よりも有意に低下していました(それぞれ5.0%±2.7%と7.5%±3.3%、P=0.003)。AIは、コントロール群と比較して閉塞性睡眠時無呼吸群で有意に高値でした(P=0.04)。

前腕虚血あるいはサルブタモール処置後のAI値の変化を調べると、閉塞性睡眠時無呼吸群の方が健常コントロール群よりも変化値が有意に小さいことが示されました(それぞれP=0.005とP=0.04)。自由行動下の血圧には両群に差はありませんでした(P=0.21)。

(考察および結論)
日中の過度の眠気やその他の日中の症状が認められない閉塞性睡眠時無呼吸において、内皮細胞の多彩な機能に障害が認められ、動脈硬化が進んでいる所見が得られました。自由行動下の血圧が有意に高くなるという所見は認められないものの、これらの所見から、日中の過度の眠気やその他の日中の症状が認められない閉塞性睡眠時無呼吸の患者においても心血管系に対するリスクが高まっていることが示唆されました。
  (Kohler M, et al.: Endothelial function and arterial stiffness in minimally symptomatic obstructive sleep apnea. Am J Respir Crit Cre Med 178: 984-988, 2008)



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