ナルコレプシーなどの日中の過度の眠気をもつ子供たちの心理社会的な問題

ナルコレプシーやEDS (excessive daytime sleepiness) などの日中の過度の眠気を主症状とする過眠症が、生活環境の中で心理社会的に患者に対してどのような影響を与えているのかについては十分な研究がなされていません。特に子供を対象とした研究調査は乏しいといえるでしょう。今回、イギリス・オックスフォード大学の精神科グループによって、ナルコレプシーと診断された4歳から18歳の患者ならびに性別と年齢をマッチングさせた健常コントロールに対して質問紙による行動、気分、QOL、学業などに関する横断的な調査研究が実施されました。様々な機関の協力を得て、イギリスをはじめヨーロッパ各国、アメリカ、オーストラリアから被験者が集まりました。調査対象となった被験者は、従来の診断方法によるナルコレプシーが48人、情動脱力発作などがなく日中の過度の眠気を主症状とする患者(EDS)が18人でした。行動評価にはStrengths and difficulties questionnaire、感情評価にはChild depression inventory、QOLには50項目Child health questionnaireをそれぞれ採用し、学業調査は先生に対して複数の項目を含む質問紙で実施されました。

ナルコレプシーおよびEDSはコントロール群と比較して、Strengths and difficulties questionnaireのpeer problem(同級生とのかかわり)、conduct problem(行為上の問題)、emotional symptoms(感情面の問題)などに有意な差が認められ、hyperactivity(過活動)には差がありませんでした。Child depression inventoryでは、ナルコレプシーおよびEDSではコントロール群よりも有意に高いスコアを示しました。QOL評価の結果は、身体面と全般的健康面ではコントロール群との差がなかったものの、精神面では有意な差を認めました。学業においては、教師がナルコレプシーやEDSの子供に対して教育することの難しさを感じているという結果でした。ナルコレプシー群とEDS群においては、評価したすべての項目において有意な差はありませんでした。

ナルコレプシーとEDSが抱える日常生活の困難さの状況は酷似しており、心理社会的に幅広い範囲で問題が生じていることが明らかになりました。その問題の根源は明確ではありませんが、日中の過度の眠気が主原因となっていることが示唆されました。臨床医や子供に対して責任のある立場の人は、この病気の早期発見と介入の重要性を意識し、理想的にはこれら心理社会的問題の予防に努めなければなりません。
(Stores et al. The psychosocial problems of children with narcolepsy and those with excessive daytime sleepiness of uncertain origin. Pediatrics 2006; 118: e1116-23.)

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