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モダフィニルの覚醒効果にはドパミンD1とD2受容体の働きが必須である

(背景)
モダフィニルの覚醒効果の作用機序は未だに明らかになっていません。In vitroの研究で、モダフィニルは弱いながらもドパミントランスポーター(DAT)とノルアドレナリントランスポーター(NET)を阻害することが認められています。

DATノックアウトマウスにおいて、モダフィニルは覚醒効果を示さないことが報告されていますが、DATノックアウトマウスではD1受容体とD2受容体がダウンレギュレーションしているため、その作用機序の詳細は不明のままです。

(目的)
D1受容体とD2受容体は脳内に広くかつ豊富に存在しており、両者をノックアウトしたマウスは、脳波を測定できる日齢まで生きていることができません。今回、D2受容体をノックアウトしたマウスを用いてD1受容体遮断薬あるいはD2受容体遮断薬を組み合わせることによりモダフィニルの作用機序の解明を行いました。

(方法)
C57BL/6系マウスから作成した11-13週齢の雄性D2受容体ノックアウトマウス(D2R KO)とそのワイルドタイプ(WT)を用いました。ペントバルビタール麻酔下で、脳波と筋電図測定プローブを埋め込みました。10日間の回復期間を置き、測定ケージで3-4日間かけて測定ケーブルなどの環境に馴らしてから、実験を行いました。

(結果)
WTマウスにおいて、モダフィニルは用量依存的な覚醒作用を示しました。D1受容体遮断薬であるSCH23390(0.03 mg/kg)あるいはD2受容体遮断薬であるraclopride(2 mg/kg)を前投与すると、モダフィニル 22.5 mg/kgおよび45 mg/kgの覚醒効果が遮断されました。モダフィニルを高用量(90, 180 mg/kg)にするとSCH23390の前処置はモダフィニルの覚醒効果に影響を与えず、racloprideの前処置はモダフィニルの効果を減弱させました。

D2R KOマウスでは、モダフィニルの投薬による覚醒促進作用はWTマウスと比較して減弱しました。D1受容体遮断薬であるSCH23390を前処置することにより、モダフィニルの効果は完全消失しました。

(結論)
今回の所見から、モダフィニルの覚醒効果にはD1受容体とD2受容体の働きが必要であることが強く示唆されました。
  (Qu W-M, et al.: Dopaminergic D1 and D2 receptors are essential for the arousal effect of modafinil. J Neurosci 28: 8462-8469, 2008)



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