睡眠の最新研究論文
若年成人のナルコレプシー患者では視床下部の灰白質が減少している

(背景)
近年、ナルコレプシーの病態として、視床下部のオレキシン含有神経細胞の機能低下や脱落の存在が明らかとなりました。しかしながら、従来のMRIなどの画像診断において、ナルコレプシーと健常者との間での脳の解剖学的な相違は認められていません。近年、より微細な脳構造を解析できる技術が開発されましたが、ナルコレプシーでの脳の形態学的な変化の研究報告はまだ非常に少ないのが現状です。

(目的)
最新画像技術である、voxel-based morphometry (VBM) 技術を用いて、ナルコレプシー患者と健常者の脳内灰白質容積を比較検討することです。

(方法)
HLA DQB1*0602が陽性で、情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者17名(平均年齢26.6 ± 5.2)、および年齢と性別をマッチングさせた17名の健常コントロール(平均年齢24.6 ± 4.9 )を被験者としました。脳の各部位の形態解析は、voxel-based morphometryで行いました。ナルコレプシーの評価は、Ullanlinna Narcolepsy Scaleを用いました。

(結果)
コントロール群と比較して、ナルコレプシー群では右側視床下部灰白質、及び皮質下、前頭前野、辺縁系、後頭領域の灰白質容積が小さいことが認められました。さらには、predefined VOI (voxel of interest)解析により、両側の視床下部の灰白質容積がナルコレプシー群で小さいことが認められました。これらの変化は、Uiianlinna Narcolepsy Scale の点数と相関していました。

(結論)
ナルコレプシー患者では視床下部の形態学的な異常があり、それが情動脱力発作を伴うナルコレプシーの臨床的な発現と相関しているかもしれないことが示唆されました。
  (Kim SJ, et al.: Gray matter deficits in young adults with narcolepsy. Acta Neurol Scand Jul 1, 2008)


過去の論文報告を含めて、ナルコレプシーにおける脳の形態学的な研究からの所見を「トピックス」でまとめています。

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