睡眠の最新研究論文
日本の高校生男子の睡眠とライフスタイルの調査―夜間に明るい光に晒される頻度と関連する因子

(背景)
文明の発達に伴い、現代人の夜間睡眠の短縮が社会的な現象となっています。日本の青年期のライフスタイルの変化により、夜に明るい光を頻繁に浴びる機会が増加しており、彼らの睡眠習慣に大きな影響を与えていると思われます。しかしながら、その詳細については明らかにされていません。

(目的と方法)
夜間に明るい光に晒される機会が多い青少年の行動様式を明らかにすることを試みました。東京の私立男子高校の生徒2225人に対して、睡眠習慣、睡眠問題、ライフスタイルなどに関する質問による横断的な疫学調査を実施しました。               

(結果)
2160人からの回答(回答率97.1%)を解析しました。平日の就寝時間と起床時間はそれぞれ00:07±0:59時間、06:25±00:41時間でした。週末の就寝時間と起床時間はそれぞれ00:46±01:17時間、09:06±01:48時間でした。平日の平均睡眠時間は6時間30分±1時間で、一方、週末の平均睡眠時間は8時間32分±1.6時間であり、平日より睡眠時間が2時間±1.65時間長いという結果でした。

我々の基準に照らし合わせると、270名の生徒(13.5%)に入眠困難、128名(6.4%)に睡眠維持困難、361名(17.1%)に覚醒困難が認められました。

明るい光に晒される機会の多さによって、4つの群に分類を行い解析しました。その内訳は、グループ1(夜間に明るい光に晒されることがほとんどなし。0-1日/週):1231名(58.2%)、グループ2(2-3日/週):1514名(24.3%)、グループ3(4-5日/週):211名(10.0%)、グループ4(ほとんど毎日、夜間に明るい光に晒されている。6-7日/週):159名(7.5%)です。グループ4では、就寝時間が遅く、睡眠時間が有意に短いことが判明しました。入眠困難(グループ1:12%、グループ4:19.9%)、睡眠維持困難(グループ1:5.2%、グループ4:12.0%)、覚醒困難(グループ1:14.2%、グループ4:22.6%)はいずれもグループ1からグループ4に向かって直線的に増加しました。さらには、常に日中に眠気がある、常に疲れている、ときどき頭痛がする、などの頻度もグループ1からグループ4に向かって増加が認められました。

夜間の行動パターンでは、全体の31%が勉強、65%がインターネット/eメール/ゲーム、52%がテレビまたはビデオ、11%が携帯電話、18%が特に何もしないという結果でした。

13の独立した因子による多変量ロジスティック回帰解析の結果、5つの因子が夜間に明るい光に晒される機会の増加と関連することが認められました(学年、朝食をとる頻度、平日の睡眠時間、日中の眠気、学校と自宅の通学時間)。

(結論)
今回の結果から、生徒の生活習慣の相違が概日リズムに影響を与えていることが示されました。コンビニエンスストアの適切な夜間利用など、適切なな睡眠習慣と健康維持を目的とした教育指導の実践が必要と思われます。今後の課題としては、概日リズム相の遅延と関連する心理学的および生物学的因子の影響を検討することです。
(Honda M et al., A sleep and life-style survey of Japanese high school boys: Factors associated with frequent exposure to bright nocturnal light. Sleep and Biological Rhythms 6: 110-119, 2008)


Copyright © 2006-2008 Kaminsho-Land All Rights Reserved.