アンフェタミンとモダフィニルは異なった作用機序で覚醒状態を高める

欧米で近年開発されたナルコレプシー治療であるモダフィニルは多くの薬理学試験や臨床試験において古典的な中枢刺激薬であるアンフェタミンやメチルフェニデートと異なった特徴を示すことが明らかになっています。しかしながら、モダフィニルの薬理作用機序は十分に解明されていませんでした。そこで、実験マーカーとしてプロトオンコジーンであるc-fosを用いた免疫染色試験をネコにおいて実施し、モダフィニル、アンフェタミン、メチルフェニデートの作用部位を比較検討しました。ネコに、モダフィニル、アンフェタミン、メチルフェニデートの同等の覚醒促進用量(それぞれ、5 mg/kg、1 mg/kg、2.5 mg/kg)を単回投与後、脳内のFos様の免疫活性を調べました。その結果、アンフェタミンとメチルフェニデートではドパミン作動性神経が密に分布している領域で著明なFos様の免疫活性が惹起されました。その一方で、モダフィニルではこれらの領域で陽性反応を示した神経細胞は非常に少なく、視床下部前側核とその隣接領域(視交叉上核)の神経細胞において著明なFos様の免疫活性を示しました。アンフェタミンとメチルフェニデートではこれらの領域の陽性細胞が少なく、モダフィニルとは明らかな相違が認められました。これらの部位は睡眠の発生に本質的な役割を担っている視索前野と覚醒における重要な構成要素であるヒスタミン作動性神経細胞が存在する視床下部後部との間に位置しており、視交叉上核は体内時計が存在するところです。このように、モダフィニルは睡眠―覚醒サイクルと関連の深い部位に限局してFos様の免疫活性を惹起させました。これらの結果から、モダフィニルの推定作用部位はアンフェタミンやメチルフェニデートの作用部位とは異なっていることが判明しました。
(Lin et al. Potential brain neuronal targets for amphetamine-, methylphenidate-, and modafinil-induced wakefulness, evidenced by c-fos immunocytochemistry in the cat. Proc Natl Acad Sci USA 1996; 93: 14128-14133.)

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