睡眠の最新研究論文
喫煙は睡眠構造に悪影響を与える

(背景)
喫煙が睡眠構造に及ぼす影響については、十分に解明されていません。

(目的)
この研究では、喫煙者と非喫煙者の睡眠脳波にどのような相違があるのかについて調べられました。

(方法)
医学的な疾患のない健康な喫煙者と非喫煙者を被験者としました。被験者は、年齢、性別、人種、肥満度などが両群で適合するように選択しました。終夜睡眠ポリグラフを用いて脳波を測定し、睡眠構造は視覚的に各睡眠ステージのスコア付けをすることにより評価しました。さらには、脳波パワースペクトラムのコンピュータープログラムによる解析を行いました。脳波はデルタ波(0.8 to 4.0 Hz)、シータ波(4.1 to 8.0 Hz)、アルファ波 (8.1 to 13.0 Hz)、ベータ波 (13.1 to 20.0 Hz)としました。

(結果)
視覚的な簡便な方法による各睡眠ステージの評価では、喫煙者と非喫煙者の両群において差がありませんでした。しかしながら、睡眠脳波のスペクトラム解析において、非喫煙者と比較して喫煙者では、デルタ波の周波帯の割合が有意に減少していることが明らかとなりました。一方、アルファ波の周波帯の割合が有意に高くなっていることも認められました。

喫煙者と非喫煙者の脳波パワースペクトラムの相違は、睡眠の初期に顕著で明け方に向かってその差は減少していきました。被験者に対して睡眠に関する自己評価を実施したところ、熟眠感がないという訴えが、喫煙者で22.5%、非喫煙者で5.0%であり、両群には有意な差を認めました。

(結論)
視覚的な簡便な測定方法では、喫煙者と非喫煙者の睡眠構造に差を見出すことができなかったものの、脳波パワースペクトラム解析において両群に顕著な相違の存在が明らかとなりました。デルタ波の割合の減少は深い睡眠が減少していることを示し、アルファ波の増加は浅い睡眠が増えていることを示します。喫煙者における睡眠構造の乱れは、睡眠の初期に顕著であったことから、睡眠開始後のニコチン退薬症状が浅い睡眠への睡眠構造の変化に関係しているのかもしれません。
(Zhang L et al. Power spectral analysis of EEG activity during sleep in cigarette smokers. Chest 133:427-432, 2008)


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