睡眠の最新研究論文
過度の眠気を伴う筋硬直性ジストロフィー1型の研究

(背景)
筋硬直性ジストロフィー1型(DM1)では、高頻度に日中の過度の眠気(EDS)の症状を伴います。DM1の患者の中には、入眠時レム期の出現が認められることもあり、ナルコレプシーと良く似た症状が観察されます。日中の過度の眠気を主症状とするナルコレプシー(情動脱力発作を伴うタイプ)ではオレキシンの神経伝達が障害されていることが明らかになっています。

(目的)
DM1患者の前向きコホート研究により、オレキシンの神経伝達異常の有無を調べることを目的としました。

(方法)
脳脊髄液中のオレキシン量はラジオイムノアッセイで定量しました。睡眠生理は終夜睡眠ポリグラフと反復睡眠潜時検査(MSLT)で評価しました。オレキシン受容体1および2のmRNAのスプライシングは、死後脳の側頭葉皮質サンプルをにて調べました。

(結果)
DM1患者38名中17名においてEDSの主訴が報告されていました。睡眠評価の実施できたEDSを伴うDM1患者13名中7名において、睡眠潜時の減少と入眠時レム期の出現のいずれか、あるいは両方が認められました。しかしながら、脳脊髄液中のオレキシン量は健常人と差がありませんでした。また、死後脳サンプルによるオレキシン受容体1と2のスプライシングも、健常者との相違を認めませんでした。

(結論)
DM1患者では、日中の過度の眠気やレム睡眠の異常が高頻度に認められましたが、その病態はナルコレプシーとは異なり、脳脊髄液中のオレキシン量の低下が認められませんでした。また、オレキシン受容体のスプライシングにも異常を認めませんでした。
(Ciafaloni E et al. The hypocretin neurotransmission system in myotonic dystrophy type 1. Neurology 70: 226-230, 2008)


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