睡眠に関する最新研究論文
十分な徐波睡眠を得ることができないと2型糖尿病を発症しやすくなる

(要約)
ノンレム睡眠は、眠りの特性が異なる4つのステージに分類されています。日中に脳が働くためには、ノンレム睡眠が重要であることに疑いの余地がありません。しかしながら、どの睡眠ステージが日中の身体の機能的な働きのために重要なのかは知られていません。深いノンレム睡眠は徐波睡眠として知られていて、最も身体の休息に必要な睡眠ステージと考えられていますが、徐波睡眠が身体のどのような機能に対して大切な効果があるのかについては実証されていません。

また、徐波睡眠の始まりに、グルコース調節に影響を与えるホルモンレベルが変化することが知られており、徐波睡眠はグルコース耐性を正常に維持するために重要かもしれません。もしこの仮説が正しいとすれば、徐派睡眠だけを選択的に断眠させることにより、グルコースのホメオタシスに悪影響を与えるかもしれません。さらには、2型糖尿病の発症の危険性を増加させるかもしれません。この仮説を実証するために、20歳から31歳の肥満ではない若い健康な成人を被験者として、5晩にわたり、睡眠実験室で睡眠ポリグラフを装着し、午後11時に就寝、午前7時30分に起床させました。

最初の2日間は睡眠ポリグラフの測定のみで、その後の3日間は、総睡眠時間を変化させない条件下で、夜間の深い睡眠である徐波睡眠だけを選択的に断眠させました。すなわち、脳波が深い睡眠段階に入り始めるときに、ベッドの脇のスピーカーから被験者が目覚めない低音を出すようにしたところ、浅い睡眠状態に引き戻され、徐波睡眠がおよそ90%減少しました。

その結果、代償的なインスリン遊離の増加なしに、インスリン感受性の著しい低下(およそ25%)が認められました。これは、グルコース耐性の低下と糖尿病発症の危険性の増加につながる変化でした。徐波睡眠が減少することにより、デルタ波のスぺクトルパワーが減少しましたが、その他の脳波の周波帯に変化はありませんでした。   

インスリン感受性の低下の程度は、徐波睡眠の減少の程度と強く相関していました。これらの所見から、正常なグルコースホメオタシスの維持のために徐波睡眠が明らかに重要な役割を担っていることが示唆されました。

高齢者では老化による睡眠の変化により徐波睡眠が減少します。肥満では、いびきや睡眠時無呼吸症の発症リスクが高まり、質の高い睡眠を得られなくなる危険性が高まります。このような深い睡眠を十分に得られない状態が持続することが、2型糖尿病の発症リスクの増加に貢献していると思われます。
(Tasali E et al., Slow-wave sleep and the risk of type 2 diabetes in humans. Proc Natl Acd Sci (early edition), January 2, 2008)


Copyright © 2006-2008 Kaminsho-Land All Rights Reserved.