母親の喫煙が、母乳を介して乳児の睡眠に悪影響を与える

(研究目的)
妊娠中や子育ての女性の喫煙による胎児、乳児、幼児への悪影響が懸念されています。ニコチンの母乳への移行率は、母親の血液への移行のおよそ2倍にも達します。母乳は乳児の発育と健康のために推奨されていますが、喫煙している母親の母乳期間は、非喫煙の母親よりも短いことが報告されています。その理由として、喫煙が母乳の分泌を低下させる、母親自身が喫煙の影響を気にして長期の母乳による授乳を避ける、喫煙者の母乳を飲んでる子供は疝痛などで泣きやすくそれが早期離乳を加速させるなどが考えられます。

本研究では、母乳を飲んでいる乳児に対する、母親の喫煙の短期的な影響が調べられました。

(研究方法)
喫煙者であり母乳で乳児を育てている15名の母親とその乳児を対象としました。母親の年齢は20歳から41歳で、乳児の月齢は2ヶ月から7ヶ月でした。1週間の間で異なる2日間を実験日とし、ひとつの試験では実験開始12時間前から禁煙をさせ、もうひとつの試験では通常通りの喫煙を許可しました。アルコールの摂取や薬の服用は実験を通して禁止しました。

母乳の摂取量は、授乳前後の乳児の体重測定で定量しました。乳児の睡眠は足にアクチグラフを着用させ測定しました。また母乳中のニコチンとその代謝物の濃度を測定しました。

(研究結果)
禁煙時と喫煙時において、乳児の母乳摂取量に差はありませんでした。しかしながら、乳児が母乳から摂取したニコチン量は非喫煙による試験日では127.1ng/kgであったのに対し、喫煙による試験日では548.9ng/kgと有意に増加していました。

授乳後から3.5時間の睡眠を比較すると、非喫煙時と喫煙時の総睡眠時間は、それぞれ84.5分、53.4分であり、喫煙時の総睡眠時間が有意に減少していました。喫煙時の授乳後の睡眠を詳細に見ると、動きのある睡眠(active sleep)、静かな睡眠(quiet sleep)、睡眠の持続時間のすべてにおいて、非喫煙時と比較して有意に減少していました。

(結論)
母親の喫煙による急性効果として、授乳後の乳児の睡眠ー覚醒パターンが変容し、乳児の睡眠時間が有意に減少することを認めました。
(Julie A et al., Breastfeeding and smoking: Short-term effects on infant feeding and sleep. Pediatrics 120: 497-502, 2007)


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