CPAP療法の時間と眠気の改善程度との関係

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療として、CPAP療法が最も有用であり幅広く普及しています。しかしながら、日中の疲れ、眠気、集中力の低下などを正常レベルまでに回復させるために、実際にどの程度の時間の鼻マスク着用が必要なのかについては十分なエビデンスがありません。なぜなら、患者の鼻マスク装着時間を客観的に知ることの難しさや個々の患者の必要な睡眠時間に個体差があるなど、様々な要因が影響しているからです。

本研究では、CPAP装置に電源のオン・オフをした時刻、鼻マスクを装着、脱着した時刻が記録できるような工夫が施されており、自宅でのCPAP療法の状況を客観的に捉えることに成功しています。

(被験者の選択基準)
多施設間による研究で、同意を得た300人の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者の中から試験プロトコールの基準に適合した149名で試験を実施しました。                    
患者選択の基準は、以下のとおりです。
(1) 閉塞性睡眠時無呼吸症候群と診断された者
(2) 年齢が、21歳から60歳であること
(3) 無呼吸低呼吸指数(AHI)が15以上であること
(4) CPAPによる治療を了承した者

(試験方法)
試験開始前に、眠気の主観的検査方法であるエプワース眠気尺度(ESS)、眠気の客観的検査方法である反復睡眠潜時検査(MSLT)、閉塞性睡眠時無呼吸症のQOL評価によく用いられるFunctional Outcomes of Sleep Questionnarie(FOSQ)による評価を実施しました。その後、日常的な実地診療による3ヶ月間にわたる自宅でのCPAP療法の後に、再度、ESS、MSLT、FQSQによる評価を実施しました。

ESSの正常と異常の境界は、過去の信頼できる報告を参考にして10点以上を眠気ありとし、MSLTは7.5分未満を眠気あり、FOSQは17.9未満を問題ありと定義しました。

(試験結果)
3ヶ月間のCPAP療法における鼻マスク装着時間が長いほど、治療に対する反応者と非反応者の割合に有意な差が認められました。すなわち、鼻マスクの装着時間が長いほど、日中の眠気や身体症状の改善作用が高くなることが判明しました。ESSの改善作用は鼻マスク4時間でほぼ最大効果となり、それよりも装着時間が長い群との差が認められませんでした。他の評価項目においても同様の時間を算出すると、MSLTでは6時間、FOSQでは7.5時間でした。

さらに、患者間の反応に対する個人差が大きいという特徴もありました。鼻マスクの装着が0時間から2時間の群において、ESSの改善が41%、FOSQの改善が33%とMSLTの改善12.5%よりも高率に認められました。その反面、鼻マスクを7時間以上装着していた群において、眠気を解消できない人が少なくても20%以上認められました。

(結論)
本研究において、日常の実地診療におけるCPAPの有効性とCPAPの使用時間との間には、正の相関性があることが明らかとなりました。しかしながら、CPAP療法には限界があることを認識する必要があります。一晩でのCPAPの使用時間が4時間であっても、ある患者にとってはそれでは不十分とは断定できないし、7時間以上使用しても過度の眠気がとれない患者が相当数存在することも認識すべきでしょう。
(Weaver TE et al., Relationship between hours of CPAP use and achieving normal levels of sleepiness and daily functioning. Sleep: 2007; 30:711-719)


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