ナルコレプシー患者ではオレキシン神経細胞に局在するNarpが著明に減少していた

ナルコレプシー患者では視床下部に局在するオレキシンという神経ペプタイドが大幅に減少していることが近年になって明らかとなり、ナルコレプシーの発症原因としてオレキシン含有神経の変性あるいはオレキシンの合成異常が考えられるようになりました。そのような中で、ラットの脳において即時型遺伝子産物である46kDaのNarp(ペントラキシン)というタンパク質がオレキシンと同じ部位に局在していることが認められました。そこで、ヒトにおいてもオレキシンとNarpが同じ部位に局在するかどうかについて中枢性疾患をもたない人の死後脳を用いて調べられました。さらには、ナルコレプシー患者の死後脳でNarpが減少しているのかについても免疫染色で調べられました。オレキシンA抗体とNarp抗体による二重染色の結果、正常なヒト脳の視床下部外側野、視床下部背内側野、視床下部背側野、視床下部後側野においてNarpとオレキシンが同じ部位に局在していることが判明し、オレキシン陽性細胞の99%以上がNarp陽性であり、Narp陽性細胞の99%以上がオレキシン陽性でした。さらに、ナルコレプシー患者脳では上記の視床下部の部位においてNarp陽性細胞が89%も減少していました。一方、ナルコレプシー患者脳の室傍核と視索上核ではNarp陽性細胞は減少していませんでした。これらの所見は、ナルコレプシーの原因がオレキシンの合成異常ではなくオレキシン神経細胞の特異的な減少という仮説を支持するものでした。さらには、視床下部のNarpの減少がナルコレプシーの症状に関与しているかもしれないことが示唆されました。
(Blouin et al. Narp immunostaining of human hypocretin (orexin) neurons: Loss in narcolepsy. Neurology 2005; 65: 1189-92.)

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