
ナルコレプシー患者の夜間睡眠と日中睡眠の関連性
ナルコレプシーの日中の睡眠と夜間の睡眠との関連性について、臨床所見、夜間睡眠構造、主観的な睡眠の質(subjective sleep quality, SSQ)、ESSおよびMSLTを用いて検討されました。

オレキシンとヒスタミンによる覚醒調節の異なる役割(ノックアウトマウスにおける研究)
覚醒状態の維持に関与していると考えられるオレキシン/ヒポクレチン神経系とヒスタミン神経系、それぞれの役割を調べる目的で、オレキシンノックアウトOx(-/-) マウスとヒスタミン合成酵素であるヒスチジン脱炭酸酵素をノックアウトしたHDC(-/-)マウスの行動特性と睡眠―覚醒特性の比較研究が実施されました。

情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者のBMI非依存性メタボリック変化
情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者の臨床的な特徴として肥満があります。情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者では脳脊髄液中のオレキシンAの濃度低下が報告されています。今回、情動脱力発作を伴うナルコレプシーと長時間睡眠を伴わない特発性過眠症において、BMI非依存性のメタボリック変化について比較検討されました。

パーキンソン病で認められる日中の過度の眠気の特徴
パーキンソン病において日中の過度の眠気を呈する患者が少なくありません。パーキンソン病患者で見られる日中の過度の眠気の症状は、しばしばナルコレプシーにおける症状と似ています。
本研究では、パーキンソン病患者における日中の過度の眠気の特性について評価が行われました。
CPT1BとCHKB遺伝子間の多型性とHLA-DRB1*1501-DQB1*0602ハプロタイプは中枢性過眠症の易罹患性と関連する
日本人と韓国人の情動脱力発作を伴うナルコレプシーを対象としたgenome-wide association研究において、carnitine palmitoyltransferase 1B(CPT1B)とcholine kinase beta(CHKB)遺伝子の間に位置するSNP rs5770917がナルコレプシーの罹患しやすさと関連していることが明らかにされています。今回、真性過眠症(Essential Hypersomnia, EHS)とSNP rs5770917、HLA-DRB1*1501-DQB1*0602ハプロタイプとの間に関係性があるか否かについてcase-control association法にて検討されました。
HLA-DQB1*0602と関連した自己免疫疾患の迅速な同定のためのリアルタイムPCR法
ナルコレプシー、I型糖尿病、多発性硬化症などを含む多くの自己免疫疾患では、
白血球抗原(HLA)型のひとつであるDQB1*0602が陽性あるいは陰性であるという遺伝子的な関連性が認められています。このアリルの存在有無を定量するための高精度HLAタイピング技術は、現在の利用できる方法では煩雑かつ高価という難点があります。今回、短時間で感度良くかつ価格を抑えてHLA-DQB1*0602を同定するための
リアルタイムPCR法の開発が試みられました。
ナルコレプシーの発症年齢と重症度との関連性について
ナルコレプシーは10代半ば頃に発症することが多い過眠症ですが、成人になってからの発症も珍しくはありません。今回、発症年齢と重症度に関連性があるか否かについて検討されました。
ブラジルのサンパウロ連邦大学の過眠症外来患者のHLA-DQB1*0602陽性率の調査
ナルコレプシー患者ではHLA-DQB1*0602陽性率が高いことが知られています。一般人口におけるHLA-DQB1*0602陽性率は、白人でおよそ25%、日本人でおよそ12%、アフリカ系アメリカ人でおよそ38%です。しかしながら白人において、情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者のおよそ95%(日本人ではほぼ100%)がHLA-DQB1*0602陽性です。白人における情動脱力発作を伴わないナルコレプシー患者のHLA-DQB1*0602陽性率は40〜50%とされています。
ナルコレプシーにおいて視床下部ー扁桃体経路に代謝性の機能異常が存在する
プロトン磁気共鳴スペクトロスコピー(1H-MRS)を用いると、生体脳において非侵襲的な化学的組織分析をすることが可能です。ナルコレプシーでは視床下部神経細胞の消失やグリオーシスなどの報告がされており、神経統合性のマーカーであるN-acetylaspartate(NAA)やグリア増生のマーカーであり細胞内カルシウムの調節を担うセカンドメッセンジャーであるmyo-inositolの動態が注目されています。本研究では、ナルコレプシーにおいて特に関心のある脳領域である視床下部、橋延髄接合部および両側の扁桃体における代謝変化を1H-MRSにて調べられました。
ノルウェーにおける情動脱力発作を伴うナルコレプシーの有病率調査
ナルコレプシーは生涯持続する慢性疾患ですが、適切な治療により症状を軽減させることができます。しかしながら、多くの患者において最初の症状が出現してからナルコレプシーと診断され適切な治療を受けるまでに10年から15年もの長い年数を要していることが報告されています。ですから、適切な診断と治療を受けるための方策を確立させるためには、ナルコレプシーの罹患率を推定することがとても重要です。
情動脱発作を伴うナルコレプシー患者の脳内神経化学的異常の分布:in vivo
MRS研究
情動脱力発作を伴うナルコレプシーではヒポクレチン(オレキシン)を産生する視床下部ニューロンの消失が認められています。この神経伝達物質であるヒポクレチンは覚醒系の調節に関与しています。神経画像や神経代謝研究から大脳皮質や視床のような他の脳領域に病態が存在することを示唆する報告がありますが、全体的に一致した所見は得られていません。
アメリカにおいて閉塞性睡眠時無呼吸症を有する民間トラック運転手の多くは未診断もしくは未治療である
アメリカにおいてトラック事故により毎年何千人もの死亡者が出ています。その主要原因は運転手の疲労と眠気です。肥満の運転手に閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)
を罹患している率が高いことが知られており、トラック事故を防ぐためにOSAのスクリーニングをすることがとても大切と考えられています。本研究では、アメリカの民間長距離トラック運転手を対象とした睡眠時無呼吸のスクリーニングが実施されま
した。
肺がん患者の疲労に対するモダフィニルの応用(パイロット試験)
進行性の癌に罹患している患者のほとんどが疲労感を伴っています。肺がん患者の疲労に対するモダフィニルの有効性と安全性
を評価し、今後、無作為コントロール試験を実施する価値があるのかどうかに
ついて検討されました。
不安患者における情動脱力発作:不安障害において認知されていない潜在的なナルコレプシーが存在する?
日中の過度の眠気、入眠時もしくは出眠時幻覚、睡眠麻痺、および情動脱力発作はナルコレプシーで認められる症状です。近年、不安障害においても日中の過度の眠気、入眠時もしくは出眠時幻覚、睡眠麻痺との関連性を示唆する報告がなされています。これらの所見から不安障害とナルコレプシーの間に何かの関連性の存在が疑われます。しかしながら、情動脱力発作はナルコレプシーに特異的な症状とされており、不安障害との関連性は知られていませんでした。
筋萎縮性側索硬化症患者の疲労に対するモダフィニルの有用性に関するパイロット試験
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis、ALS)患者の疲労に対するモダフィニルの有効性について予備的な検討がなされました。その結果、モダフィニルはALS患者の疲労に対する有用な治療薬となり得ることが示唆されました。
中枢性過眠症では脳脊髄液中のヒスタミン量が減少している
中枢性過眠症であるナルコレプシー、特発性過眠症、ならびに非中枢性過眠症である閉塞性睡眠時無呼吸症候群の脳脊髄液中ヒスタミン濃度を測定したところ、中枢性過眠症のヒスタミン濃度はコントロール群よりも有意に低下していました。一方、閉塞性睡眠時無呼吸症のヒスタミン濃度はコントロール群と有意な差がありませんでした。
ナルコレプシーでは脳脊髄液中のヒスタミン量が減少している
ヒスタミンは覚醒促進物質として知られています。ナルコレプシー患者脳脊髄液中のヒスタミン量を測定したところ、健常コントロール群と比較して有意に減少していることが認められました。このヒスタミン量の減少は、脳脊髄液中のヒポクレチン濃度が低下している患者ほど顕著でした。
モダフィニルのドパミントランスポーターを介した薬理作用
モダフィニルの覚醒促進作用は中枢刺激薬であるアンフェタミンなどとは異なることが動物実験で実証されていますが、その作用機序は十分に解明されていません。本研究では、モダフィニルを用いてin vitro 受容体およびトランスポーター結合実験、ならびにn vivo 脳内微小透析による細胞外ドパミン含量と自発運動量を測定し、間接的なドパミンアゴニストであるGBR12909およびメタンフェタミン(METH)の薬理作用と比較検討されました。
日本の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の臨床的特徴の男女差
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の様々な症候の発現における男女差については十分に研究されていません。本研究では、OSASの日本人男性と女性の臨床的症候の差異を明らかにすることを目的として実施されました。
鉄分補給によるむずむず脚症候群の改善効果
むずむず脚症候群(Restless Legs Syndrome, RLS)は、安静時に表現し難い四肢の異常感覚が出現する疾患で、四肢をじっとさせていることができなくなります。その結果、睡眠に悪影響を与え日中の過度の眠気を伴うことが多い疾患です。その発症原因の一つとして鉄分の不足が考えられています。
パーキンソン病患者の睡眠発作は治療薬によるドパミンD3受容体の長期的活性化とオレキシン神経伝達の低下が関与しているかもしれない
睡眠発作を呈するパーキンソン病患者は決して多くはありませんが、患者の日常生活を大きく損なうため臨床的には重要な問題です。パーキンソン病治療薬によるドパミン受容体、特にD3受容体の長期的な活性化がその原因の一つと考えられています。最近の研究から、パーキンソン病患者の睡眠発作はナルコレプシーと同様に視床下部のオレキシン神経系の障害が関与している可能性が示唆されています。
ナルコレプシーの自己抗体の探索:バイオアッセイ系を用いたアプローチ
多くの研究報告から、ナルコレプシーは自己免疫疾患である可能性が提唱されています。免疫学的手法を用いた精力的な研究が実施されていますが、未だにナルコレプシーの自己抗体が同定されていません。本研究では、マウス単離結腸のcolonic migrating motor complex(CMMC)を指標としたバイオアッセイ系を用いて、ナルコレプシー患者に自己抗体が存在することの証明を試みました。
薬物治療経験のない過眠症患者の健康に関連したQOLの調査
「情動脱力発作を伴うナルコレプシー」、「情動発作を伴わないナルコレプシー」、および「長時間睡眠を伴わない特発性過眠症」と診断された薬物治療経験のない患者の健康に関連したQOL(HRQOL)が調査されました。その結果、薬物治療経験のない過眠症患者のQOLは健常者を対象とした平均値より低下していることが認められました。
モダフィニルは覚醒状態のバロメーターであるP13電位の振幅を増大させ、その効果はgap junctionアンタゴニストで遮断される
GABA作働性ニューロン間にgap junctionが存在する脚橋核(pedunculopontine neucleus, PPN)にモダフィニルを注入すると覚醒状態を反映する頭頂でのP13電位の振幅が増大し、この作用はgap junctionのアンタゴニストで遮断されました。今回の所見から、モダフィニルの覚醒促進作用の機序について新たな概念が提唱されました。
オレキシン遺伝子を欠損させたマウスへのオレキシン遺伝子導入とその効果
遺伝子導入法は、様々な神経変性疾患における神経化学的な治療手段として期待されていますが、睡眠障害に応用できる可能性についての報告はありません。ナルコレプシーは、視床下部に存在する神経ペプチドでありオレキシン(ヒポクレチン)含有神経細胞の消失が病態とリンクしていることが判明しています。ナルコレプシーは過眠を主症状とする睡眠障害であり、神経変性疾患でもあります。
本研究では、ナルコレプシーの治療に対する遺伝子導入技術の応用の可能性について検討されました。
中国漢民族における閉塞性睡眠時無呼吸(OSAS)とセロトニン・トランスポーター遺伝子多型の関連性研究
神経伝達物質の一つであるセロトニンは、概日リズムや呼吸調節に関与しており、薬理学的あるいは神経行動学的な多くの研究所見から、OSASの病因にセロトニン神経系の関与が指摘されています。OSASの家族研究所見からOSASの発症には遺伝子の関与も考えられていますが、その詳細は解明されていません。
そこで、OSASの病因を解明する一環として、OSASとセロトニン・トランスポーター遺伝子多型との関連性が検討されました。
プラダ・ウィリー症候群でみられる過眠症とモダフィニル
プラダー・ウィリー症候群(Prader Willi syndrome, PWS)の子どもたちは中枢性あるいは閉塞性の睡眠呼吸障害リスクを有しています。さらには、PWS患者は血中の酸素濃度の低下や炭酸ガス濃度の上昇に対して異常反応を示すことが知られています。PWA患者は閉塞性睡眠時無呼吸や過眠症の罹患率が高いですが、PWSの特徴である肥満ですべてを説明することはできません。本研究では、PWSと過眠症を併発する小児に対するモダフィニルの有用性が検討されました。
軽度の閉塞性睡眠時無呼吸でさえも心血管系に対して危険性がある
中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸は内皮細胞機能不全との関連性が知られており、動脈硬化や高血圧を発症するリスクが高まります。しかしながら日中の過度の眠気などの症状がほとんど認められない軽度の閉塞性睡眠時無呼吸と血管機能障害との関連性は知られていません。
本研究では、日中の過度の眠気やその他の日中の症状が認められない閉塞性睡眠時無呼吸と血管機能障害との関連性が調べられました。
ヒポクレチン(オレキシン)は尾側正中腹側被蓋野ドパミンニューロンを優先的に活性化させる
ヒポクレチン(オレキシン)ニューロぺプチド系は多くの神経伝達物質系を調節しています。近年の研究で、ヒポクレチンは前頭前野や側坐核shellのドパミン神経伝達を選択的に亢進させることが示唆されています。しかしながら、異なるドパミン神経投射経路に対して、ヒポクレチンが異なる作用を発揮するメカニズムは解明されていません。
そこで、本研究では、ヒポクレチンが腹側被蓋野内の側坐核coreへ投射するドパミンニューロンよりも前頭前野や側坐核shellへ投射するドパミンニューロンを選択的に活性化させるのか否かについて調べました。
ナルコレプシー発症に関連するCPT1B遺伝子とCHKB遺伝子間の変異
HLA型やオレキシン神経系の異常などナルコレプシーの病態が解明されつつありますが、未だに多くの謎が存在しています。ナルコレプシー患者の第一度近親者の相対的な発症リスクは、一般人口の発症リスクの10〜40倍高くなることから、遺伝的因子の関与も考えられています。本試験では、ナルコレプシー発症原因を解明する目的で、情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者と健常者を対象としたゲノムワイド関連解析研究が実施されました。その結果、CPT1B遺伝子とCHKB遺伝子が含まれる連鎖不均衡ブロックにナルコレプシー発症と有意に関連する危険ハプロタイプの存在が見出されました。
ドパミン-β-水酸化酵素ノックアウトマウスを用いたモダフィニルの作用機序研究
モダフィニルの覚醒促進にノルアドレナリン神経系とドパミン神経系がどのような関与をしているかを検討するために、ドパミン-β-水酸化酵素遺伝子を欠損させたノックアウトマウス(Dbh-/-マウス)を用いた実験が行われました。その結果、モダフィニルはドパミン神経系とノルアドレナリン神経系の両者を介して覚醒作用を発揮していることが示唆されました。
モダフィニルの覚醒効果にはドパミンD1とD2受容体の働きが必須である
D1受容体とD2受容体は脳内に広くかつ豊富に存在しており、両者をノックアウトしたマウスは、脳波を測定できる日齢まで生きていることができません。今回、D2受容体をノックアウトしたマウスを用いてD1受容体遮断薬あるいはD2受容体遮断薬を組み合わせることによりモダフィニルの作用機序の解明を行いました。
治療抵抗性高血圧患者の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の罹患リスク:ベルリン質問表(Berlin Questionnaire)の有用性
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は治療抵抗性高血圧の危険因子と成り得ます。終夜睡眠ポリグラフや簡易睡眠モニターで治療抵抗性高血圧を発見することはできません。治療抵抗性高血圧の発見には質問表による調査が有用かもしれません。
今回、症例コントロール研究として、ベルリン質問表とエプワース眠気尺度を用いて閉塞性睡眠時無呼吸症候群と治療抵抗性高血圧の関連性について検討されました。
情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者の嗅覚異常とオレキシン
近年、ドイツのStiasny-Kolster博士らは、ナルコレプシー患者では嗅覚に軽度ですが異常があるかもしれないことを報告しています。情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者において、脳脊髄液中のオレキシンA(ヒポクレチン1)濃度が顕著に減少しています。視床下部のオレキシン含有神経細胞は脳の様々な領域と連絡しており、嗅脳領域(嗅粘膜から嗅脳皮質まで広範囲)にも神経線維を投射しています。ですから、情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者の嗅覚異常は、低下しているオレキシン神経系が関与しているかもしれません。
HLA DR2陽性ナルコレプシー患者では末梢visfatin濃度が増加している
ナルコレプシーではHLA DQB1*0602が陽性であることが知られており、免疫グロブリンの静脈内投与により情動脱力発作が改善するという報告もあります。このように、ナルコレプシーの発症に自己免疫機能の異常が関与していることが示唆されています。今回、ナルコレプシー患者ではvisfatin濃度が変化しているという仮説をたて、54名のナルコレプシー患者と39名の健常者の末梢visfatin濃度を比較検討しました。
若年成人のナルコレプシー患者では視床下部の灰白質が減少している
近年、ナルコレプシーの病態として、視床下部のオレキシン含有神経細胞の機能低下や脱落の存在が明らかとなりました。しかしながら、従来のMRIなどの画像診断において、ナルコレプシーと健常者との間での脳の解剖学的な相違は認められていません。今回、最新画像技術である voxel-based morphometry (VBM) 技術を用いて、ナルコレプシー患者と健常者の脳内灰白質容積が比較検討されました。
閉塞性睡眠時無呼吸における脳内の構造的変化
閉塞性睡眠時無呼吸では、治療を行っても認知や感情面の問題が伴いやすく、脳内で何らかの変化が生じている可能性が考えられていますが、通常のMRI検査では脳内の損傷を示す所見は見出されていません。今回、最新の画像技術である拡散テンソル画像解析を用いて、閉塞性睡眠時無呼吸患者と健常者の脳内の形態について比較されました。
日本の高校生男子の睡眠とライフスタイルの調査―夜間に明るい光に晒される頻度と関連する因子
日本の青年期のライフスタイルの変化により、夜に明るい光を頻繁に浴びる機会が増加しており、彼らの睡眠習慣に大きな影響を与えていると思われます。しかしながら、その詳細については明らかにされていません。
そこで、夜間に明るい光に晒される機会が多い青少年の行動様式を明らかにし睡眠に与えている影響を調べることを目的として、東京の私立男子高校の生徒2225人に対して、睡眠習慣、睡眠問題、ライフスタイルなどに関する質問による横断的な疫学調査を実施しました。
睡眠時無呼吸患者において、運動不足、うつ、無呼吸の重症度が日中の過度の眠気と相関する
睡眠時無呼吸患者において、エクササイズは無呼吸、うつ、代謝異常の改善に有効とされていますが、エクササイズと日中の過度の眠気との関連性は知られていません。
そこで、睡眠時無呼吸症患者の日中の過度の眠気に対する、日常の運動不足、抑うつ状態、無呼吸の影響について調査されました。
単一施設における小児ナルコレプシーの後ろ向き調査
小児ナルコレプシーの研究は、成人ナルコレプシーの研究ほど進んでおりません。この研究では、小児ナルコレプシーの臨床的特徴、睡眠ポリグラフィーにおける特徴的な所見、他の過眠症との鑑別、ナルコレプシーと併存するかもしれない過眠症の併存率などが調査されました。
若年のナルコレプシーにおいて内側前頭前野GABA濃度が増加している
脳内のGABAとグルタメートは、それぞれ主要な抑制性と興奮性の神経伝達物質として重要な働きをしており、睡眠とも密接に関連していることが知られています。しかしながら、ナルコレプシー患者を対象とした Proton Magnetic Resonance Spectroscopy (1H-MRS)によるGABAやグルタメートの変化に関する研究はほとんど報告されていません。そこで、若年のナルコレプシー患者と健常人の内側前頭前野と基底核のGABAとグルタメート濃度を1H-MRSにより定量比較されました。
モダフィニルによる局所脳血流量の変化
モダフィニルにはナルコレプシーに伴う日中の過度の眠気を軽減させる作用があり、覚醒を促進させる働きを有していますが、その作用機序は未だに十分に解明されていません。モダフィニルの作用機序解明の一環として、健常人にモダフィニルを投与したときの局所脳血流量(rCBF)の変化を 99mTc-ethylcysteinate dimer (ECD)を用いた単一光子放射断層撮影(SPECT)にて検討されました。
喫煙は睡眠構造に悪影響を与える
喫煙が睡眠構造に対してどのような影響があるのか、睡眠脳波のパワースペクトラム解析により調べられました。その結果、喫煙者では非喫煙者と比較して睡眠脳波に明らかな違いが認められました。
成熟ラットのレム睡眠を妨げると海馬における神経新生が抑制される
成熟後の海馬歯状回における神経新生は、鳥類や人を含む哺乳類で確認されています。海馬歯状回に存在する前駆細胞の増殖、遊走、分化のプロセスは、様々な要因により実験的に影響を受けることが知られており、ストレスは増殖に対して抑制的に作用することが報告されています。本研究では、レム睡眠と海馬歯状回の神経新生の関係性について検討が行われました。
ナルコレプシー患者の眠気と体温の関係
健常人において、日中では深部体温が皮膚温よりも相対的に高く、夜間では皮膚温が深部体温よりも相対的に高いことが知られています。このバランスが適切な覚醒や睡眠と関係していると考えられます。ナルコレプシーでは覚醒に障害が認められ、日中の過度の眠気を呈しますが、この眠気は皮膚温の異常と相関しているかもしれません。
過度の眠気を伴う筋硬直性ジストロフィー1型の研究
筋硬直性ジストロフィー1型(DM1)では高頻度に日中の過度の眠気(EDS)の症状を伴います。DM1の患者の中には、入眠時レム期の出現が認められることもあり、ナルコレプシーと良く似た症状が観察されます。
そこで、ナルコレプシー患者において認められるオレキシン神経系の異常が、DM1患者でも認められるのかについて研究されました。
GABAニューロンを識別可能としたマウスにおけるレム睡眠を調節している脳幹GABA作働性ニューロンの役割
近年、脳幹のGABA作働性ニューロンがレム睡眠をコントロールしているかもしれないことが示唆されています。しかしながら、その薬理学的あるいは生理的な機序はほとんど解明されていません。そこで本実験ではGABA合成酵素であるグルタミン酸脱炭酸酵素のアイソフォームであるGAD67の遺伝子プロモーター領域に緑色蛍光タンパク質( green fluorescent protein,GFP)の発現をノックインさせたマウスを用いて脳幹におけるGABA作働性ニューロンのレム睡眠に対する役割について検討されました。
十分な徐波睡眠を得ることができないと2型糖尿病を発症しやすくなる
ノンレム睡眠は、眠りの特性が異なる4つのステージに分類されています。日中に脳が働くためには、ノンレム睡眠が重要であることに疑いの余地がありません。しかしながら、どの睡眠ステージが日中の身体の機能的な働きのために重要なのかは知られていません。深いノンレム睡眠は徐波睡眠として知られていて、最も身体の休息に必要な睡眠ステージと考えられています。しかしながら、徐波睡眠が身体のどのような機能に対して大切な効果があるのかについては実証されていません。 徐波睡眠の始まりに、グルコース調節に影響を与えるホルモンレベルが変化することが知られており、徐波睡眠はグルコース耐性を正常に維持するために重要かもしれません。そこで、徐波睡眠とグルコースのホメオタシスの関連性について検討がなされました。
情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者のユーモア刺激の処理過程中に視床下部と扁桃体の異常活性が認められる
ナルコレプシーの病態解明において、MRIやPETを用いた多くの画像研究が報告されていますが、一貫した所見が得られていません。本研究では、ポジティブな感情表現のときに情動脱力発作が生じる機序を解明するために、事象関連機能的MRI(event-related functional MRI)を用いた健常者との比較研究が実施されました。
睡眠不足症候群は臨床的に重視すべき過眠症である
近年制定された睡眠障害国際分類第2版(ICSD-2)では睡眠(行動)習慣によって引き起こされた睡眠不足症候群(BIISS)という疾患が過眠症に分類されています。しかしながら、日本における疫学研究のデータは十分ではありません。
今回、日中の過度の眠気を主訴として来院した1,243名の外来患者を対象として、BIISSの罹患率や臨床的な特徴を後ろ向き研究で調査されました。
オレキシンは hypoxia-inducible factor 1 活性を促進させる
オレキシンAとBはGタンパク共役型の受容体(OXR1とOXR2)に結合する神経ペプチドであり、覚醒促進、食欲、自発運動、代謝などと関係していると考えられています。オレキシン遺伝子を欠損させたノックアウトマウスでは、イヌやヒトのナルコレプシーと類似した症状が認められています。このように、覚醒や摂食行動の調節に中枢性のオレキシン神経系が非常に重要であるのにもかかわらず、これらの作用を発揮させるための下流の伝達系の仕組みがほとんど解明されていませんでした。今回の研究において、オレキシンが好気的条件下でhypoxia-inducible factor 1 (HIF-1)を活性化させることが明らかになりました。
母親の喫煙が、母乳を介して乳児の睡眠に悪影響を与える
妊娠中や子育ての女性の喫煙の胎児、乳児、幼児に与える悪影響が懸念されています。ニコチンの母乳への移行率は、母親の血液への移行のおよそ2倍にも達します。本研究では、母乳を飲んでいる乳児に対する、母親の喫煙の短期的な影響が調べられました。
受動喫煙と妊娠女性の睡眠障害との関連性
妊娠中の女性が睡眠障害で悩んでいるケースは少なくありません。妊婦の受動喫煙が睡眠に悪影響を及ぼしている可能性があります。そこで、妊婦受動喫煙の睡眠に与える影響が調査されました。
ナルコレプシー患者の白血球に差次的に発現している遺伝子の同定
ナルコレプシーの発症原因の一つとして免疫学的な異常が考えられており、情動脱力発作を伴うナルコレプシーとヒトの白血球抗原(HLA)であるDRB1*1501/DQB1*0602との間には密接な関連性があるとされています。しかしながら、ナルコレプシーの病態生理とどのように関連しているのか明らかになっていません。
この研究では、白血球中のナルコレプシーの生物学的マーカーを同定する目的で、情動脱力発作を伴うナルコレプシー患者の白血球に特異的に発現している遺伝子をアニーリングコントロールプライマー (ACPs)を用いたディファレンシャルディスプレイ法によって同定することを試みました。
2型糖尿病患者における睡眠時無呼吸の有病率
睡眠時無呼吸は、高血圧、肥満、心血管病、インスリン抵抗性を含むメジャーな疾患に併存しやすいことが知られています。また、睡眠時無呼吸と2型糖尿病の発症しやすい因子が類似しています。
そこで本研究において、2型糖尿病の成人における睡眠時無呼吸の発症率および、共通因子の統計調査が実施されました。
閉塞性睡眠時無呼吸と尿中アルブミン量との関係
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)があると心血管病を発症するリスクが高まることが明らかになっていますが、そのメカニズムについては十分に解明されていません。これらの考えられる原因として、交感神経系の過活動、迷走神経系の活動障害、インスリン抵抗性などの関与がこれまでに報告されています。近年、分子レベルによる心血管病のリスク研究が精力的に行われるようになり、心血管病発症の前段階として、全身の炎症性反応、血液凝固系、血管内皮機能などの恒常性維持機構の調節異常が報告されています。
血管内皮細胞に関して、アルブミンの尿排泄は血管内皮細胞の機能障害の指標のひとつであり、心血管病の強力な危険因子とされています。そこで、OSA患者におけるアルブミン尿排泄量が調べられました。
CPAP療法の時間と眠気の改善程度との関係
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療として、CPAP療法が最も有用であり幅広く普及しています。しかしながら、日中の疲れ、眠気、集中力の低下などを正常レベルまでに回復させるために、実際にどの程度の時間の鼻マスク着用が必要なのかについては十分なエビデンスがありません。そこで今回、鼻マスクの装着と脱着時間を記録できるように改良したCPAP装置を用いて、装着時間と日中の眠気との関連性が検討されました。
香港ナルコレプシー患者の第一度近親者における発症リスクとHLA型
ナルコレプシーの発症因子のひとつとして遺伝があります。しかしながら、ナルコレプシー患者の第一度近親者を調べた研究のほとんどは、患者や家族に対する問診や質問表によるもので、睡眠ポリグラフや反復睡眠潜時検査などの客観的な測定手段で検証されていません。そこで今回、客観的な測定方法を用いて、香港在住中国人ナルコレプシー患者の家族性研究が実施されました。
ナルコレプシー関連遺伝子の探索
ヒトのナルコレプシーに対して感受性あるいは抵抗性である新たな候補遺伝子を探索するために、23,244個のマイクロサテライトマーカーを用いてゲノムワイドな探索が実施されました。その結果、21番染色体上にナルコレプシーとの関連性が強い新規遺伝子が見いだされました。
ナルコレプシー患者の皮膚温異常と眠気との関係
健常人において、末梢の皮膚温度が近位部の皮膚温度よりも相対的に上昇すると入眠しやすくなることが知られています。この末梢の皮膚温の上昇は皮膚における血流量の増加に起因し、脳内の視床下部が交感神経性に皮膚血管緊張度を調節しています。ナルコレプシーでは視床下部の機能変化が特徴的であるため、ナルコレプシー患者の日中の皮膚温変化と睡眠傾向の増加との関係が検討されました。
ダイエット療法がナルコレプシーの眠気に有効?
ナルコレプシー患者の睡眠―覚醒サイクルにおけるダイエットの影響に関しては、詳細な研究がされていません。本研究では、低炭水化物ケトン体産生ダイエット(low-calbohydrate, ketogenic diet: LCKD)の影響を、最適な用量による薬物療法を行っているBMI 20以上のナルコレプシー患者で検討されました。
仮眠は救急病棟医療従事者の遂行力を高める
スタンフォード大学の研究グループによって、夜間勤務の外科救急病棟医療関係者における仮眠の有用性について調べられました。3日間連続して夜勤の医師25名および看護師24名を被験者として、午前3時から40分間の仮眠をとる群と仮眠をとらない群において、夜勤明けの運転能力、記憶力、実技シミュレーション、精神状態などが比較されました。
モダフィニルはラット視床下部前部においてヒスタミンの放出を増加させる
モダフィニルはナルコレプシーの治療薬として欧米で使用されています。その作用機序を解明するために、in vivo脳内微小透析法により麻酔下ラットの視床下部ヒスタミンの放出に及ぼすモダフィニルの影響が検討されました。その結果、モダフィニルは視床下部前部において細胞外ヒスタミン濃度を間接的に増加させました。
ナルコレプシーなどの日中の過度の眠気をもつ子供たちの心理社会的な問題
ナルコレプシーなどの日中の過度の眠気を主症状とする過眠症が、生活環境の中で心理社会的に患者に対してどのような影響を与えているのかについては十分な研究がなされていません。特に子供を対象とした研究調査は乏しいといえるでしょう。今回、イギリス・オックスフォード大学の精神科グループが、ナルコレプシーまたは日中の過度の眠気を主症状とする18歳以下の子供を対象とした行動、感情、QOL、学業などに関する調査研究が報告されました。
不眠・睡眠トラブルと補完・代替医療
アメリカ国立補完・代替医療センター(NCCAM)とNIHからの研究グループによって、2002年のNational Health Interview Survey Dataを解析し、不眠などの睡眠トラブルの罹患率と補完・代替医療の実態に関する調査が行われました。その結果、およそ160万人のアメリカ成人が補完・代替医療を利用していることが明らかとなりました。
ナルコレプシー患者ではオレキシン神経細胞に局在するNarpが著明に減少していた
近年、ラットの脳において即時型遺伝子産物である46kDaのNarp(ペントラキシン)というタンパク質がオレキシンと同じ部位に局在していることが報告されました。そこで、ヒトにおいてもオレキシンとNarpが同じ部位に局在するかどうかについて中枢性疾患をもたない人の死後脳を用いて調べられました。さらには、ナルコレプシー患者の死後脳でNarpが減少しているのかについても免疫染色で調べられました。
Caerphilly cohort研究からのエビデンス:睡眠障害の脳卒中および心臓病発症のリスク
高齢者における睡眠障害と虚血性脳卒中と虚血性心臓の発症のリスクに相関性があるという仮説を証明するためにコホート研究が実施されました。年齢55から69歳の1986人の男性に対して不眠、いびき、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、日中の眠気などの睡眠障害の症状に関する質問を行い、その後10年間の追跡調査を行いこれらの睡眠障害と脳卒中や心臓病発症との関与が調べられました。
アンフェタミンとモダフィニルは異なった作用機序で覚醒状態を高める
欧米で近年開発されたナルコレプシー治療薬であるモダフィニルは多くの薬理学試験や臨床試験において古典的な中枢性刺激薬であるアンフェタミンやメチルフェニデートと異なった特徴を示すことが明らかになっています。しかしながら、モダフィニルの薬理作用機序は十分に解明されていませんでした。そこで、実験マーカーとしてプロトオンコジーンであるc-fosを用いた免疫染色試験をネコにおいて実施し、モダフィニル、アンフェタミン、メチルフェニデートの作用部位を比較検討しました。
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