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●金縛りのメカニズム●



金縛りは、寝入りばなに、あるいは睡眠から目覚めたときに起こります。金縛りのメカニズムを知るためには睡眠について少々の知識が必要です。睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠があります。詳しくは「睡眠について」をご覧ください。眠りに入ると最初にノンレム睡眠が出現しそれに続いてレム睡眠が出現します。ところが、A子さんのように睡眠不足で疲れがたまっていて不規則な時間に寝ると最初にレム睡眠が出現することがあるのです。
レム睡眠は浅い睡眠で脳は活発に動いていますが、末梢への指令を遮断しているので筋肉は弛緩し体を動かすことはできません。より詳しいメカニズムは明らかになっていませんが、寝入りばなでまだ意識があると自覚しているときにレム睡眠が出現すると体を動かすことができず声をだすこともできないという現象が起こるのです。これが金縛りの正体であり、睡眠麻痺といいます。睡眠麻痺は寝入りばなだけではなく、レム睡眠から覚醒したときにも起こります。



レム睡眠時には自律神経の活動が不安定となり、血圧の上昇や心拍数・呼吸数の増加などが認められます。金縛りの最中に胸の圧迫感や息苦しさなどを感じることがありますが、レム睡眠中の自律神経の不安定さと関連しています。また、レム睡眠時に人は夢を見ます。睡眠麻痺が起こるような覚醒と睡眠のどっちつかずの状態のときに、幻覚を見ることが少なくありません。レム睡眠と関連した夢をはっきりと実在するものとして認識してしまうため、現実感のある恐ろしい怪奇体験として現れるのです。寝入りばなに見る幻覚を入眠時幻覚と呼ばれています。入眠時幻覚では視覚だけでなく実際に肌に触れる感覚(触覚)があることも多く、生々しい内容であることが多いという特徴があります。


睡眠麻痺や入眠時幻覚は、10代後半で起こりやすく、年を重ねるにつれて起こりにくくなります。睡眠不足や不規則な睡眠を続けると起こりやすいともいわれていますが、生涯に一度だけの場合もあれば、頻繁に経験する場合もあります。健康な人のおよそ半数が、一度は睡眠麻痺や入眠時幻覚を経験するようです。このように多くの場合は、治療の必要がなく自然と経験することがなくなっていきます。ところが、睡眠麻痺や入眠時幻覚を頻繁に経験し日中に耐え難い眠気のある人は、ナルコレプシーという病気を疑ってみる必要があります。ナルコレプシーは日中に耐え難い眠気が繰り返し生じる病気ですが、その主要な症状として睡眠麻痺や入眠時幻覚があるのです。


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