目次に戻る 次へ進む

社会構造が複雑となり、生活スタイルの変化やストレスなどで睡眠になんらかの問題をもつ人が増加しています。1995年に報告された厚生省睡眠障害研究班の調査では、全国11ヶ所の総合病院を受診している6466人のおよそ20%が睡眠に問題を抱えていることがわかりました。また1997年に健康・体力づくり事業財団が報告した国民3030人を対象とした健康に対する意識調査では、睡眠で十分な休養がとれていないと回答した人がおよそ23%で、日中に強い眠気を感じると回答した人がおよそ15%も存在していました。




エジソンの電球発明以後の1世紀ちょっとで、現代人の睡眠時間は1時間以上減少したと言われています。24時間眠らない社会となり、交代勤務など夜間に働く人が増加しています。過度の労働や不規則な生活により慢性的な睡眠不足(睡眠負債)に陥っている人が少なくありません。夜勤や頻繁な交代勤務による睡眠障害を概日リズム睡眠障害のなかの交代勤務型睡眠障害といい、アメリカでは以下のような経験からその対策に力を入れ始めています。


睡眠不足は日中の疲労感と眠気につながるだけでなく、作業効率の低下や思わぬ作業ミスの発生を引き起こします。世界中を震撼させた、1986年のチェルノブイリ原子力発電所の爆発事故、スペースシャトル「チャレンジャー号」の爆発事故、1989年アラスカ沖での巨大タンカーの座礁事故における事故後調査では、いずれも昼夜を問わない過酷な労働による睡眠不足からの人為的なミスが原因と報告されています。

そのほかにも1995年にアメリカで発生したボーイング機の墜落事故もパイロットの睡眠不足による人為ミスと公表されています。このような大事故は特別なケースとして思われやすいですが、日常的に発生している居眠り事故などにおいて、現代人の慢性的な睡眠不足が関与しているのは疑いの余地がありません。





最近では、日本において新幹線の運転士による居眠り運転が大きく報道されました。その後、この運転士は睡眠時無呼吸症候群という病気に罹っていることが判明しました。この病気は過眠症のひとつであり、いびきを伴う睡眠中に何度も呼吸が止まることにより十分な睡眠を得ることができず、日中に過度の眠気を生じるが特徴です。このように、日中に過度の眠気が生じる過眠症と呼ばれる疾患群に対して日本でも注目が集まるようになってきています。日中に過度の眠気が襲う過眠症は健康を障害する医療的な問題だけではなく、眠気が原因となる事故による社会的な問題もはらんでいるのです。


現代社会においては、慢性的な睡眠不足とストレスを避けて通ることが困難になってきています。今後、睡眠障害に絡む様々な問題に対してもっと目を向けていく必要があります。
Copyright © 2006 Kaminsho-Land All Rights Reserved.