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睡眠負債を抱えていると日中の疲労感と眠気で効率よく作業ができないばかりか、思わぬ重大なミスを犯しやすくなります。この防止策として短時間のうたた寝が有効であり、疲労回復や作業効率を高めることが知られています。睡眠研究の世界的権威であるアメリカのスタンフォード大学の研究では45分間のうたた寝がその後の作業効率に良いという報告をしています。




社会構造が複雑になるにつれて昼夜を問わず長時間の勤務を余儀なくされる人々が増加しています。その結果、医師、看護婦、交代勤務労働者、長距離運転手、パイロットなどにおける慢性的な疲労と睡眠不足による様々な人為的ミスが社会問題になってきています。




うたた寝の効果について、アメリカのNASAの睡眠と疲労の研究グループが行った興味深い研究を紹介します。



日本とホノルルあるいはロサンゼルス間を運行するパイロットの作業効率と睡眠についての研究が行われました。3名のパイロット編成で飛行中に交替で40分間ずつうたた寝をしたグループとうたた寝をしないで常時運行作業を継続したグループで、作業能力と睡眠状況を調べたところ、両者の間でパイロットの覚醒状態に大きな差が生じたのです。
   うたた寝をしないグループでは作業能力が劣っただけではなく、マイクロスリープの回数が驚くほど多いという結果でした。フライトの最終段階である着陸までの1時間の間に、うたた寝をしなかった9人のパイロットでなんと120回ものマイクロスリープが観察されたのです。うたた寝をした12人では参加した人数が多いのにもかかわらず34回にとどまり、着陸前の30分間では1回もありませんでした。この報告が発表された後に多くの航空会社ではフライト前にパイロットのうたた寝時間を設けるようになりました。この研究におけるうたた寝をしたグループの実際の睡眠時間は平均で26分間なので、この程度の短期間のうたた寝でも十分な効果があるのです。(Rosekind博士、NASAでの報告から。NASA Technical Memorandum 108839, 1994年)

睡眠不足や過度の睡眠負債を抱えてぼんやりしながら何時間も仕事をするよりも、思い切って30分程度でも昼寝をしたほうが結果的には仕事がはかどるばかりか、作業ミスも少なくなるようです。
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