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奇妙な日本の睡眠文化

「電車での居眠り」は不思議な光景!?

電車で居眠りをする。日本ではごくごくありふれた光景ですが、日本を訪れる外国人の目にはとても奇妙な光景に映るようです。
ロンドンではバスに乗っている時に居眠りすることは違反とされている他、UAE(United Arab Emirates:アラブ首長国連邦)では電車の中で居眠りをすると、日本円にして約9,000円の罰金が課される法律があるなど、どうやら外国では公の場で眠る「居眠り」という行為はマナー違反という考えがあるようです。
この日本独自ともいえる「居眠り文化」について考えてみましょう。


“イネムリ”として知られる日本の「居眠り文化」

この「居眠り」ですが、外国ではそのまま “イネムリ”と呼ばれ、日本独自の睡眠文化として知られています。しばしばBBCなどの海外のニュースでも取り上げられ、注目されています。
また、それにとどまらず、近年では日本人の「居眠り」についての研究がなされています。 ケンブリッジ大学で文化人類学を研究しているブリギッテ・シテーガ氏は著書の『世界が認めたニッポンの居眠り』において日本人の居眠りを文化的側面から考察しています。 ヨーロッパでも昼寝という習慣はありますが、“イネムリ”のように「ながら活動」の形で眠ることはほとんどありません。それはマナーの面で良くないとされているからです。

ブリギッテ・シテーガ氏はインタビューで次のように語っています。 「歴史をふり返ると、居眠りをする習慣が、古くから日本文化の中に根付いていることがわかります。当然、夜に寝ないで働いているからとか、日本の治安が良いからという直接的な理由はありますが、日本人だけが居眠りをするのには独自の文化的な理由があるのです。また、居眠りは人間関係のバランスをとるのにも役立っています。電車の中で目を閉じれば、知らない相手と距離を取ることができる。こういった側面も居眠りの見逃せない効用です。」


フランス人の睡眠VS日本人の睡眠

さらに、言語学や日仏比較文化を専門とする、西南学院大学文学部教授のジャン=リュック・アズラ氏は著書『Les Japonais sont-ils differents?』の中で、フランス人と日本人が睡眠というものに対して持っている概念の違いを次のように説明しています。

「フランス人にとっての眠りとはプライベートなもので性生活にも結びつく概念である。フランスでは自分以外の人と寝るのはカップルだけであり、他人の前で寝るということについて抵抗感をもってしまう。また、フランス人にとって睡眠とは一気にとるものであり、どれだけの睡眠時間をとっているか把握している人が多い。
一方、日本人にとっての眠りとはプライベートなものではなく、性生活を想起させるものではない。他人の前で寝ることに対する抵抗感もない。日本人にとっての睡眠はフランス人のようにきちんと管理されたものではなく、睡眠時間を把握していない。また、疲れ切った時にしか眠れないほど忙しい人が多い。」

このように欧米と日本では、睡眠に対する考え方が違うようです。「居眠り」に限らず「睡眠」というものはその国の文化や国民性と強く関わり、国によってその概念は異なっています。ひょっとしたら日本だけでなく海外にも、その国独自の睡眠文化が存在するのかもしれませんね。



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