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子供に添い寝する日本人

「川の字で寝る」

この言葉は、わたしたち日本人にとっては、なじみ深い言葉です。しかし、この「川の字で寝る」という習慣は、欧米人にとっては不思議なことに思えるようです。欧米では幼い子どもでも、ひとりでベットに寝るのが一般的だからでしょう。


子供をひとりで寝かせる欧米人

しばしば人類学において「Co-Sleeping(コスリーピング)」という言葉が用いられます。これは一部屋に一人で寝る独り寝に対して、複数の家族成人が一部屋で寝るという事を指した言葉です。
この「コスリーピング」について子どもと親の就寝形態の習慣を調査したレポート『Cultural Variations in Infant’s Sleeping Arrangements; Question of Independence』(1992年 ユタ大学)に、これまでに行われた医学的、人類学的調査や文献調査などの結果が記されています。これによると、南米やアジア地域では乳幼児のコスリーピングが常識であり、北米、欧米、オーストラリアでは乳幼児の独り寝が常識であると記されています。

欧米では、子どもの自立心を成長させるためや夫婦の関係を守るために子どもをひとりで寝かせる方が良いと考えるようです。この考え方によると、幼い子どもと一緒に寝ることは、子どもの自立心の成長の妨げとなったり、夫婦の関係を阻害するデメリットがあるということになります。ではなぜ、日本では小さい子どもと一緒に寝るという習慣が一般的なのでしょうか。


日本の添い寝文化の意味

日本全国5,000件以上の家族の寝方を調査研究した「子どもの将来は“寝室”で決まる」の著者、篠田有子さんは次のように語っています。
「日本は伝統的に親子が一緒に“添い寝”する文化があって、それは現代でも変わりません。そしてそれは、子どもにも親にとっても愛情の通い合う、非常に優れた寝方です。(中略)子どもは、全身のあらゆる感覚で親の愛情を感じ取り、安心感を得ています。」

日本人が子どもと添い寝をすることは、親から子への大きな愛情表現の1つであり、情緒を安定させるためにも役立っているのです。

では、子どもの独り寝が一般的な欧米では、そういった子どもへの愛情表現は希薄なのでしょうか。それについて、篠田さんはこう語っています。
「欧米はまず夫婦関係が重視されますから、生まれてすぐの赤ちゃんでもひとりで寝かせる、これは徹底しています。ですが起きているあいだはもう、しじゅう子どもをハグして、いかに愛しているかをアピールし続けます。就寝前も親は必ず子ども部屋で一緒に過ごして、寝入るまで絵本を読んであげたりお話ししたりと、"おやすみ前の儀式"が習慣になっています」。 欧米人は起きている間に、愛情を伝えるスキンシップを含めたコミュニケーションを十分に行っているのですね。

そして、日本人が赤ちゃんをひとりで寝かせる場合には、そういった愛情のフォローを意識的に行なうことが不可欠である、でなければ子どもは親の愛情を感じ取れず、情緒が不安定になる可能性が大きい、と篠田さんは言っています。日本人が子どもに添い寝する習慣は、図らずも、感情表現を抑えがちな国民性による愛情の伝わりにくさを補う役目も担っているのかもしれませんね。



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