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●ナルコレプシーと向き合う●


ナルコレプシーなどの睡眠障害を専門とする病院での検査において、ナルコレプシーと診断されたら、薬物による治療と生活面の指導が行われます。


● 薬物治療


・ 夜間睡眠の確保


ナルコレプシーなどの過眠症では、夜間の睡眠障害が伴っていることが多いです。ですから、夜間の睡眠を確保するために睡眠導入薬や必要に応じて睡眠薬や抗精神病薬なども用いられます。


・ 日中の覚醒維持


ナルコレプシーの主症状である、日中の過度の眠気に対する薬物治療が行われます。国内初である「ナルコレプシーに伴う日中の過度の眠気」を効能・効果とする精神神経用剤が2007年春から処方できるようになりました。その他にも、従来から用いられている精神刺激薬が必要に応じて処方されます。


・ 情動脱力発作


情動脱力発作やレム関連症状の治療には、三環系抗うつ薬が用いられます。


・ 注意点


薬には効果のほかに副作用が伴います。お医者さんの指示に従って、正しく服薬することが大切です。


● 生活面から


ナルコレプシーは思春期から青年期に発症しやすい病気です。勉学上の困難さは、ナルコレプシーの学生患者であれば誰もが直面する問題です。学校側の十分な理解が得られず苦しむこともあるでしょう。睡眠日誌をつけ、自分にあった生活スタイルを確保することが大切です。帰宅後に短時間の仮眠をとると夕食後の勉強が楽になります。


職業生活上では、仕事中の居眠りや危険な作業中の事故など失敗を繰り返して、退職や転職を余儀なくされることもあるでしょう。車の運転や高所作業など危険な職業は避けなければなりません。また、単調なデスクワークが主体の仕事よりも、身体を動かす職業や自分で仕事の時間配分ができる職業の方が適応しやすいでしょう。日中に20分程度の計画的な睡眠をとることで眠気を軽減させることができます。同じ病気でありながら上手に社会適応されている方に話を聞くことも有効な方法です。


● 精神面から


日中に眠くなる、頻繁に居眠りをしてしまうという行動を繰り返すと、怠け者、やる気がないなどの悪い印象を周囲に与えやすくなります。病気の説明を周囲の者にしても、居眠りが主症状のためにユーモラスな病気と思われ軽く扱われがちになります。これらのことは、患者本人にとってはとても辛く悲しいものです。転職先でも同じように扱われ、誤解の目でみられたりすることを繰り返すと、自信を失い性格の変化をきたすことがあります。いわゆるナルコレプシー型性格というもので、張りがなく自信のない表情になり、物事に消極的ですぐにあきらめてしまいやすくなるのです。このような消極的な性格になると、ナルコレプシーと向き合うことをやめ治療の継続からも脱落してしまいます。


精神面での悩みを恥ずかしがらずお医者さんに相談してください。自分ひとりで悩まずに、なんでも相談しましょう。


● 患者の会


ナルコレプシーの患者によって自主的に運営されている「なるこ会」という患者の会があります。このような患者の会に参加することにより、有益な情報を得ることができるだけでなく、社会で自信をもって生活していく支えになるでしょう。


(参考にした文献)

本多 裕、本多 真:ナルコレプシー、過眠症の治療. 臨床と薬物治療, 17: 246-250, 1998.

本多 裕、本多 真:過眠症の診断・治療と神経機序. 35: 273-277, 2001.
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