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●ナルコレプシーと喫煙●


ナルコレプシーの主症状は、日中の過度の眠気です。この耐え難い睡眠発作に突然襲われるため、通常では考えらないような状況下でも居眠りをしてしまう危険性が高まります。ですから、車の運転、機械作業、火を使う料理などの最中にも睡眠発作が起こり得るので、日常生活における注意や工夫の必要性が様々な形で喚起されています。


しかしながら、喫煙の危険性に対する注意喚起はあまりされていないように感じます。それを裏づけるように、喫煙の危険性を調査した研究報告はほとんどありません。


このような背景のなかで、2008年6月にアメリカのボルチモアで開催された国際的な睡眠学会で、ナルコレプシーと喫煙リスクに関する調査報告が発表されました。小規模な予備的な試験ですが、とても興味深い内容であると思われましたので、簡単に紹介します。


アメリカミネソタ州のオルムステド郡という地域のデータベースならびに、アメリカのロチェスター市のメイヨークリニックのナルコレプシーとしての外来患者を対象として質問形式のアンケートを実施し、回答のあった内容を解析したものです。


実際の対象者数はわかりませんが、おそらく数十人程度の小規模調査と思われます。その結果を以下に要約します。


  • ナルコレプシー患者のおよそ65%が過去あるいは現在において喫煙者でした。

  • ナルコレプシー患者である喫煙者全員が、喫煙(ニコチン)は眠気の軽減に効果的であると感じています。

  • 喫煙経験のあるナルコレプシー患者のおよそ3人に1人が、喫煙中に居眠りしてしまった体験を持っていました。

  • 喫煙経験のあるナルコレプシー患者のおよそ4人に1人が、ベッドで喫煙をしていました。

  • 喫煙経験のあるナルコレプシー患者のおよそ4人に3人が、喫煙中の睡眠による火傷、あるいは衣類、家具、カーペットなどを焦がした経験がありました。

  • 車内で喫煙中に居眠りをしてしまい、車を全焼させてしまったという回答が1件ありました。

  • ニコチンパッチを代用することにより、眠気の軽減だけでなく情動脱力発作も軽減したという回答が1件ありました。

  • ほとんどの患者が禁煙を試みた経験を持っていますが、多くの場合、眠気が増悪するという理由から断念したと回答していました。


小規模の予備的な調査ではありますが、ナルコレプシー患者の喫煙において、火傷や衣類などの焼け焦がしは、希なことではなく日常的に遭遇していることのように思われます。 しかしながら、ナルコレプシー患者では眠気の軽減という目的で喫煙している場合が多く、健常者よりもさらに禁煙が困難な状況に置かれているのかもしれません。


いずれにしましても、ナルコレプシーなどの過眠症の方の喫煙には、十分な注意が必要です。喫煙中の睡眠が原因と成り得る火災などの大事故を避けるために、ベットでの喫煙をやめるなど一人一人が対策を講じてほしいと思います。


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