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●過眠を呈する病気●


日中の眠気や居眠りなどの過眠を呈する症状は、様々な原因によって誘発されます。最新の睡眠障害国際分類IIを参照すると、睡眠関連呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群が含まれる)、中枢性過眠症(ナルコレプシーなどが含まれる)、概日リズム睡眠障害、睡眠関連運動障害(むずむず脚症候群などが含まれる)など多岐の睡眠障害に過眠が認められています。以下に過眠を呈する代表的な病気を記載します。



●1 ナルコレプシー●

代表的な過眠症のひとつです。居眠り病とも呼ばれ、思春期から青年期に多発します。耐えることができない突然の眠気に頻繁に襲われる病気です。その眠気は強烈で、1対1で商談をしているときや食事をしているときなど、通常では考えられないシチュエーションにおいてさえも居眠りをしてしまいます。眠気だけでなく、金縛りや寝入りばなの幻覚、大笑いしたり得意になったり興奮したりしたときに筋肉の力が突然抜けてしまう発作(情動脱力発作)などの特徴的な症状が出現します。


●2 睡眠時無呼吸症候群●

ナルコレプシーと同様に代表的な過眠症です。睡眠時無呼吸症候群には閉塞性と中枢性がありますが、患者数が多く社会的にも問題となっているのは閉塞性睡眠時無呼吸症候群です。大きないびきが特徴で、睡眠中に呼吸が止まる無呼吸状態を何度も繰り返すため、睡眠の質が悪化し、慢性的な疲労感と日中の眠気に悩まされます。


●3 反復性過眠症●

周期性傾眠症ともいいます。多くは青年期に発症し、過眠(傾眠)状態が昼夜を問わず数日間から数週間程度続く状態を繰り返します。傾眠期に過食をともなうクライネ・レビン症候群や月経の周期に一致して起こる月経関連過眠症という亜型があります。


●4 特発性過眠症●

主な症状は日中の眠気です。典型例では、昼間が1時間以上持続することが多く、目覚めたときに頭がぼんやりした状態が持続します。情動脱力発作は起こりませんが、立ちくらみや四肢冷感などの自律神経症状を伴うことがあります。主睡眠が10時間以上に延長した上で日中の眠気が生じる長時間睡眠型と正常範囲の睡眠で日中の眠気が生じる非長時間睡眠型があります。


●5 むずむず脚症候群●

夜、安静にすると、主にふくらはぎなどに「むずむずする」「虫が這うような不快感」などの表現し難い異常感覚が起こります。そのために、じっと寝ていることができなくなります。脚をたたいたり、歩き回ったりして動かすと、違和感が改善するという特徴があります。夜中に目覚めたときに違和感が生じて寝付けなくなることもあります。このような原因で睡眠不足が続くため日中に眠気が起こりやすくなります。


●6 周期性四肢運動障害●

夜間ミオクローヌスと呼ばれていた疾患です。睡眠中に手足、特に下肢にピクンピクンとする不随意運動が周期的に出現します。このために睡眠が妨げられ、日中の眠気が起こりやすくなります。本人が気づかないうちに脚が動いてしまって眠りが浅くなっている場合もあります。寝相が悪い場合は要注意です。加齢により発現頻度が高まります。



体内時計の狂いによって生じる睡眠障害を称して概日リズム睡眠障害といいます。1日の覚醒と睡眠のリズムがずれるので、日中に過度の眠気が生じたり、真夜中に目がさえてしまうなどの障害が起こります。睡眠・覚醒リズム障害、サーカディアンリズム睡眠障害ともいいます。



交代勤務労働者、パイロット、医師・看護師、長距離ドライバー、警備員、夜間の飲食店従業員など昼夜逆転して働く、あるいは昼夜を通して働く人々は体内時計のリズムに逆らった生活を余儀なくされています。体内時計のリズムと覚醒・睡眠の生活サイクルのずれにより、過眠や不眠の症状が出現します。また、不規則な就業形態による睡眠不足も睡眠障害の原因となります。



体内時計が何らかの原因で進んでしまうため、覚醒と睡眠のリズムが早い時間帯のほうにずれてしまう病気です。したがって、夕方になると眠気が生じ夜の早い時間帯に就寝してしまい、早朝に目覚めてしまいます。


- C 睡眠相後退症候群

体内時計が何らかの原因で遅れてしまうため、覚醒と睡眠のリズムが遅い時間帯のほうにずれてしまう病気です。したがって、明け方近くまで寝付けず、いったん眠ると昼過ぎまで目が覚めないという状態に陥ります。


- D ジェット時差症候群

5時間以上の時差のある地域にジェット航空機で移動した際に、現地時間に対して不適切な時間に眠くなったり覚醒したりする睡眠障害をいいます。一般的に、時差ぼけとも呼ばれています。


- E 非24時間睡眠覚醒症候群

正常な場合では、体内時計は朝の光刺激に同調して1日を24時間と認識し毎日規則正しい覚醒と睡眠の周期を作ります。ところが本疾患では、朝に目覚める手がかりがなくなり、覚醒と睡眠の周期が生体が本来もっている25時間近くの状態のままになり、毎日の起床時間と就寝時間がおよそ1時間ずつ後ろにずれてしまいます。このために、自らの意思で規則正しい生活を送ることができません。


●8 身体疾患や精神疾患に伴う日中の過眠●

身体疾患や精神疾患の症状として様々な睡眠障害が起こります。日中の眠気を起こしやすい代表的な病気としてうつ病やパーキンソン病があります。うつ病では、特に季節性うつ病で日中に強い眠気が生じやすいと言われています。季節性うつ病の発症には日照時間が影響しているため、体内リズム(概日リズム)の乱れが眠気の原因になっているかもしれません。そのほかにもパーキンソン病などの脳変性疾患では、症状が進行すると日中に強い眠気が生じやすくなることがあります。


●9 薬の副作用●

抗ヒスタミン薬、抗てんかん薬、抗精神病薬など多くの薬の副作用として眠気が伴います。


●10 不適切な睡眠衛生●

日常生活の中で過眠や不眠などに陥らないように規則正しい生活をし、十分な質の高い睡眠を得るように心がけ実行することを睡眠衛生といいます。睡眠の質や量の向上を目的とした入眠方法や睡眠環境の整備、さらには覚醒環境が睡眠に及ぼす影響を明らかにしてその対策を講じるという広い意味でよく用いられる用語です。例えば、寝室環境やコーヒー摂取なども睡眠衛生の範疇です。この睡眠衛生が不適切なものになると、過眠や不眠などの睡眠障害が起こります。




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