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アクチグラフ(あくちぐらふ、actigraph)
超小型で精密な加速度計が内蔵され、長期間にわたって連続して活動量を記録する機器の総称のこと。睡眠研究のほか、サーカディアンリズム研究、時計遺伝子研究など睡眠の分野で広く利用されている。
活動量データとともに照度データが記録される機能によって、光療法に活用することもでき、睡眠障害の治療にも役立つ。そのほか、パルスオキシメータとの併用により、睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングにも活用されている。


悪夢(あくむ、nightmare)
睡眠中にみる恐ろしいあるいは不吉な夢。悪夢にうなされて覚醒するために夢の内容を生々しく覚えていることが多い。疾患としての悪夢は、夢のあと完全に覚醒し寝ぼけがないこと、再入眠が妨げられるあるいは夜の後半に生じることが特徴。多くは急性ストレス反応であり一過性なので治療を必要としないが、長期持続する場合はPTSD、うつ病、ナルコレプシー、人格障害などが基盤にあることが多く原疾患の治療が必要となる。なお薬剤性に生じる場合もある。


朝型・夜型(あさがた・よるがた、morning・night)
一般に呼ばれる朝型・夜型のタイプ分類は、単に生活習慣だけでなく、ある程度、生理的に決まった要因であるということがわかっている。夜型の人が突然、早寝・早起きに移行しても、ホルモンや 深部体温等の生体リズムはなかなか朝型にはならない。このように、その個人にとって、最も過ごしやすく快適な概日リズムまたは睡眠覚醒リズムを含む行動パターンから、朝型・夜型が決まる。


アセチルコリン(あせちるこりん、acetylcholine, Ach)
主要な神経伝達物質のひとつ。末梢では副交感神経末端や運動神経の神経筋接合部などから放出され多彩な生理機能を有している。中枢ではコリン作動性神経の伝達物質として作用し、覚醒・睡眠の調節にも関与している。


アデノシン(あでのしん、adenosine)
眠気の元となる「睡眠物質」のひとつ。
アデノシンは、人間の活動エネルギー源「アデノシン三リン酸」が分解されることで生まれる副産物で、起きて活動している間中、増え続ける。そして一定の量に達すると、強い眠気に襲われる。 人の脳内には、アデノシン量を検出する「受容体」があり、脳内のアデノシンが一定レベルを超えると、睡眠中枢が「アデノシンが増えすぎたので、そろそろ脳を休ませよう」と判断し、だんだんと眠くなってくる。


アフリカ睡眠病(あふりかすいみんびょう、sleeping sickness)
アフリカ睡眠病とは、ツェツェバエが媒介する寄生性原虫トリパノソーマを媒介して感染する人獣共通感染症である。病状が進行すると睡眠周期が乱れ、もうろうとした状態になり、さらには昏睡して死に至る。睡眠周期の乱れが特徴となることから睡眠病と呼ばれている。
アフリカのサハラ以南36か国6千万人の居住する地域の風土病で、感染者は5万人から7万人と推計されている。


アルファ波(あるふぁは、Alpha wave)
アルファ波とは心身をリラックスさせたり何かに興味を持って集中したりしているときに見られる脳の波形。8〜14Hzの周波数帯域の脳波で、通常は覚醒時、目を閉じたときに最も出現しやすい。
一般に脳波には、4Hz未満のデルタ波、4〜8Hz未満のシータ波、8〜14Hz未満のアルファ波、14Hz以上のベータ波があるとされる。アルファ波のなかでもミッド・アルファ波(9〜11Hz)が重要で、「脳波がミッド・アルファ波の状態のとき、意識脳と潜在脳を遮断している扉が開かれ、潜在脳にある必要な情報を意識脳に取り込む」とする考え方がある。


安眠(あんみん、restful sleep)
安眠とは「ぐっすりとよく眠る」こと。そのためには、外部環境と内部(体内)環境の両面を整えることが重要だ。外部環境とは周りの騒音や温度・湿度、電灯などの照明、布団や枕をはじめとした寝具など体の外部の要因のことで、内部環境とは食事やアルコール、カフェインなどの摂取物、眠気を妨げるような傷や痛み、悩みといったこと、さらに睡眠中の発汗作用を妨げる要因もその一つで、本質的には人間の体に組み込まれた「体内時計」のリズムなどもある。


位相(いそう、phase)
波動などの波形でみられるような周期的な変動における、ある時点の位置や状態を指す用語。体内時計や睡眠―覚醒周期は一定の周期的変動であり、その状態を表現するときに用いられる。


位相前進(いそうぜんしん、phase advance)
位相が時間軸に沿って前進すること。睡眠-覚醒周期の前進を特徴とする睡眠障害を睡眠相前進症候群という。


位相反応曲線(いそうはんのうきょくせん、Phase reaction curve)
生体リズムの位相(時間とともに周期的に変化する現象において、全過程中の位置を示す量)を見るとき、変化させる刺激を与えた時刻を横軸に置き、刺激によって生じた位相の変化を縦軸にプロットすることで得られる曲線のこと。
位相を変化させる刺激には、光やメラトニンなどがあり、光の場合は、どの時刻に光を浴びると、リズムがどのように変化するのかを曲線で示すことになる。


依存症(いぞんしょう、Dependence)
同じ薬物を使い続けることにより、その薬物の使用を抑えることができなくなり、継続的・周期的に使用する状態。睡眠薬では、その服用によって得られる精神的、身体的な作用を求めて自分の意思では服用をコントロールできなくなり、服用を中止すると強い不安感を覚えて止めることができなくなってしまう。病院からはベンゾジアゼピン系か非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を処方されるが、どちらのタイプも依存性は少ない。
ただし、まれに、この薬物依存を起こすことがある。特に高齢者に多く、歳を重ねると薬を外に排泄する力が衰え、薬の効果が体内に残るためと考えられる。


一過性不眠症(いっかせいふみんしょう、Transient insomnia)
睡眠障害(不眠症)には一過性不眠症と慢性不眠症があるが、一過性不眠症とは、一時的に、数日〜数週間程度続く不眠症のこと。
時差ぼけや昼夜交代勤務による症状のほか、入学試験や大事な会議など緊張感によるもの、騒音や温度・湿度の不快感などの環境的な要因によるもの、家族の不幸など精神的に大きなストレスによるものなど原因はさまざまだ。
短期間の不眠症なので、特に治療しなくても改善することが多い。


居眠り(いねむり、catnap)
居眠りとは、「座ったり腰かけたりしたままで眠ること」で、類義語に「うたた寝」という言葉があるが、この2つは厳密には異なる。たとえば、居眠りとは「通勤途中の電車のなかで居眠りをして下車駅を間違えた」「会議中につい居眠りをしてしまい上司にひどく怒られた」といった場合で実は脳が完全には眠っておらず、いわば無意識のうちに「寝てはいけない」と理解したまま眠っている状態だ。一方のうたた寝は、寝てはいけない状態かどうかは関係なく、つい、ふと寝入っている状態のことをいう。 ちなみに、居眠りの「居」は座っていることを意味し、「うたた寝」を漢字で書くと「転寝」となる。「転」とは横になることと考えてよい。この語感の差が、眠りの違いをより示している。


いびき(snoring)
睡眠中の呼吸の際に、上気道が振動して起こる雑音のこと。いびきは熟睡のサインではなく病的な状態であり、むしろいびきは睡眠にとって弊害です。いびきは、睡眠時無呼吸症候群の主症状です。


インシュリン(インシュリン、insulin)
インシュリンとは、ひとの体の中でつくられるホルモンで、唯一血液中のブドウ糖(血糖)を少なくする働きをもっている。
睡眠が不足すると、インシュリンが十分に作用しない状態になり、糖尿病リスクが上昇する。


うとうとする(Doze off)
眠気を催して浅い眠りに落ちるさま。眠りに落ちそうになる、こっくりこっくりとする、船をこぐ、ウツラウツラするなどとも表現される。意識がはっきりとしなくなること(睡魔に襲われる、朦朧とする、 ボンヤリする、うたた寝する、まぶたが垂れる、といった表現もある)のほか、半分眠った状態でふらふらする(半睡状態になる、といった表現もある)、短時間浅く睡眠に入る(まどろむ、といった表現もある)といった諸相がある。


エプワース眠気尺度(えぷわーす・すいみんしゃくど、Epworth sleepiness scale)
日中の眠気評価のために幅広く用いられている自己評価尺度です。過眠症の診断においても自覚的な眠気の程度を把握するために用いられます。詳細はこちらから。


オトガイ筋(おとがいきん、Mentalis muscle)
人間の頭部の筋肉のうち、唇の周囲の口筋のなかで、下あごに梅干の種のようなしわをつくり、隆起させる筋肉のこと。
レム睡眠では、脳波上はノンレム睡眠段階1に似ているが、急速眼球運動が見られ、またオトガイ筋の筋電図が消失する。すなわち、レム睡眠で人間の筋肉のうちオトガイ筋が脱力することになる。このことが発見されたのは1965年。以後、人間の睡眠状態を正確に測定するには、脳波と眼球運動に加えてオトガイ筋の筋電図を記録するようになっている。


オレキシン(おれきしん、orexin)
オレキシン(orexin)は1998年に発見された新しい神経ペプチドである。別名ヒポクレチン(hypocretin)ともいう。摂食中枢として知られる視床下部外側野とその周辺に局在し食欲を亢進させる働きがある。また、睡眠―覚醒サイクルにおいて、覚醒を維持するために重要な働きをしていることがわかり、ナルコレプシーの病態に深く関与していることが明らかとなっている。


オレキシン受容体拮抗薬(おれきしんじゅようたいきっこうやく、Orexin receptor antagonist)
覚醒の状態を維持するオレキシンという脳内物質の働きを抑えることにより、眠りを促すタイプの不眠症治療薬。
オレキシンはオレキシン受容体という部位にくっつくことで脳を覚醒状態にし、そのオレキシン受容体には「オレキシン1受容体」と「オレキシン2受容体」の2つの受容体がある。オレキシン受容体拮抗薬は、この両方の受容体をブロックするため、DORA(Dual Orexin Receptor Antagonist)(二つのオレキシン受容体の拮抗薬)と呼ばれる。
脳の覚醒に関わるシステムを抑制し、脳の状態が覚醒から睡眠へ切り替わることを助けるため、自然な眠りへと導く効果があるとされる。


音楽の覚醒効果(おんがくのかくせいこうか、Awakening effect of the music)
最近の研究で、仮眠から目覚めてすぐにアップテンポの曲を聴くと、その曲の好き嫌いにかかわらず曲を聴かないよりも眠気が低減し、睡眠慣性の抑制効果があることがわかってきた。好みの曲を聴くと、目覚めたあとも、より眠気の低下が起こるとされている。
なお、覚醒水準が操作された被験者の実験では、心が静まる音楽を聴かせて体温(皮膚温)の変化を調べると、低覚醒群では皮膚温の低下(鎮静効果)が見られ、高覚醒群では皮膚温の上昇(覚醒効果)が見られたという。この場合は、音楽による「覚醒調整効果」ということになる。


外因性睡眠障害(がいいんせいすいみんしょうがい、Exogenous sleep disorder)
覚醒作用をもっている薬品や嗜好品の摂りすぎのほか、睡眠薬やアルコールが原因で、いわば、睡眠障害の原因が身体の外にあるもの。薬品でなくても、コーヒーなどカフェインの過剰摂取などが原因のケースもあり、また、騒音や暑さ・寒さ、光などが原因のケースもある。体外にある睡眠障害の原因を取り除けば解消する場合がほとんどだが、外部の環境に対して身体が順応してしまうこともあるので注意したい。


概日リズム(がいにちりずむ、circadian rhythm)
体内時計により刻まれる1日の周期的なリズムのことをいう。サーカディアンリズムともいう。生体内の視交叉上核にある体内時計の働きによって1日のリズムが形成される。したがって、この時計が狂うと様々な概日リズム睡眠障害が起こる。


概日リズム睡眠障害(がいにちりずむしょうがい、ciracdian rhythm sleep disorders)
体内時計の狂いによって生じる睡眠障害を称して概日リズム睡眠障害という。1日の覚醒と睡眠のリズムが狂うので、日中に過度の眠気が生じたり、真夜中に目が冴えるなどの障害が起こる。交代勤務睡眠障害睡眠相前進症候群睡眠相後退症候群ジェット時差症候群非24時間睡眠・覚醒障害などの疾患がある。睡眠・覚醒リズム障害またはサーカディアンリズム睡眠障害ともいう。


覚醒(かくせい、wakefulness)
目覚めていること。睡眠と対比の関係。


覚醒維持検査(かくせいいじけんさ、maintenance of wakefulness test)
覚醒状態の程度、すなわち眠気の程度を調べる測定方法のひとつ。ベッドに横になり、睡眠ポリグラフを記録する。我慢して寝ないように指示を出し、消燈後から寝入るまでの時間(睡眠潜時)を測定する。薬物の影響を調べるときには、反復睡眠潜時検査より感度が高いとされている。20分法と40分法がある。


覚せい剤(かくせいざい)
狭い意味では覚せい剤取締法で規制されている薬物。広い意味では中枢刺激薬が含まれる。「覚醒剤」と「覚せい剤」を区別して、前者にはコカインなど広義の中枢刺激薬を含め、後者をアンフェタミン系薬剤に限って使用することがあります。覚せい剤に相当する英語はなく、psychostimulantsはアンフェタミン、メタンフェタミン、コカイン、メチルフェニデート、カフェイン、エフェドリンなど中枢刺激薬を意味する言葉です。


覚醒システム(かくせいしすてむ、Awakening System)
人間は脳内の睡眠システムと覚醒システムと呼ぶべき2つのシステムがシーソーのようなバランスを保つことで、寝たり起きたりを繰り返していると考えられる。眠れないときの脳は、覚醒システムが優位で、眠りたくなるときは睡眠システムが優位となるということだ。
このうち、覚醒システムを活性化させるのが、オレキシンという神経伝達物質。正常な状態では、オレキシンの分泌量は日中が多く、夜間は少なくなるが、ストレスや昼夜のリズムの乱れや興奮などによって、夜になってもオレキシンの分泌量が下がらないことがあり、それが不眠症の原因のひとつともされている。


覚醒障害(かくせいしょうがい、arousal disorders)
睡眠随伴症に分類される睡眠異常で、覚醒障害はその症状によって睡眠時夜驚症、睡眠時遊行症(いわゆる夢遊病)、錯乱性覚醒に区別される。いずれも寝ぼけのような状態を呈し、睡眠からの覚醒に障害が認められる。いずれもノンレム睡眠中に発症しやすく、小児に多いことも共通した特徴である。


覚醒状態(かくせいじょうたい、arousal、vigilance)
目覚めている状態の程度。覚醒状態が低下すると眠気や居眠りが生じるだけでなく、思考能力や瞬時の判断能力や反射能力が低下するため、作業効率の低下や作業ミスを起こしやすくなる。


覚醒不全症候群(かくせいふぜんしょうこうぐん、Awakening imperfection syndrome)
覚醒不全症候群とは、睡眠不足や睡眠障害かもしれないと自覚をしても、実際に医療機関で検査をすると眠気の兆候がほとんどない状態。精神的なストレスや疲労や悩みごとが原因と見られる。これも睡眠障害の一つで、概日リズム睡眠障害に分類される。体内時計が何らかの原因で乱れてしまうことで、睡眠のリズムがずれてしまうことによる。この睡眠障害では、まず生活習慣を改善すること。昼間と夜の生活が逆転しているなど生活習慣に何らかの問題を抱えた人は、朝眠れなかったとしても朝日を体いっぱいに浴びることが大切だ。ちなみに、この睡眠障害では、慢性の持続する眠気を訴えても、ナルコレプシー特発性過眠症などとは異なり睡眠発作に襲われることはなく、実際に日中の睡眠はほとんど起こらない。


カタプレキシー(かたぷれきしー、cataplexy)
ナルコレプシーを特徴づける症状で、大笑いをしたり、あるいは喜んだりするなどの感情が強く働いたときに、からだの力が抜けてしまう発作のこと。まぶたが垂れる程度の軽いものから、頭が垂れ下がる、膝がくずれる、さらには転倒してしまうような重度のものまで様々な脱力発作が起こる。発作の長さは数秒から数分以内で、発作時でも意識がはっきりしているのが特徴。 情動脱力発作とも呼ばれる。新しい国際診断基準では、カタプレキシーを伴わないナルコレプシーの存在も認められている。


金縛り(かなしばり、sleep paralysis)
医学的には睡眠麻痺と呼ばれる。寝入睡眠りばな、あるいは目覚める直前に出現する手足など体を動かすことができず、声を出すこともできない状態のことを指す。代表的な過眠症であるナルコレプシーの特徴的な症状のひとつであるが、健常人においてもしばしば体験する現象であり、思春期の頃に最も出現しやすい。金縛りは医学的に認知された病的な生理現象であるが、体験した人の多くは霊現象などに取り違えている。


カフェイン(かふぇいん Caffeine)
カフェインは、アデノシンとよく似た構造をしているためアデノシン受容体と結合してアデノシンの働きを阻害するため、覚醒作用がある。
カフェインの効能としては、眠気覚ましなどの興奮作用や尿の排出を促す利尿作用などが広く知られているほか、「自律神経の働きを高める」 「集中力を高め作業能力を向上させる」「運動能力を向上させる」など、さまざまな効果がわかっている。なお、副作用として不眠、めまいがあらわれることもあるため、過剰な摂取には注意が必要。


過眠(かみん、excessive sleepiness)
日中の耐え難い眠気または居眠りが毎日のように生じる状態をいう。長い時間居眠りをするという意味ではない。過眠が原因で学校生活や社会生活に支障をきたすようになると過眠症という病気が疑われる。


仮眠(かみん、nap)
うたた寝や昼寝のような短期間の睡眠。仮眠によりマイクロスリープの発生を抑制でき、睡眠不足(睡眠負債)による作業効率の低下や作業ミスの抑制に効果がある。効果的な仮眠のとり方は、体内時計のしくみや実験成績などから午後3時前の30分以内とされる。


過眠症(かみんしょう、hypersomnia)
日中に過剰な眠気または居眠りが少なくとも1ヶ月毎日のように起こる、あるいは1ヶ月未満でも短い持続期間が繰り返し起こる。過眠症は過眠を主症状とする疾患群の総称であり、ナルコレプシー睡眠時無呼吸症候群などが含まれる。過眠症状は、軽視されてきた傾向があるが、重大な事故や合併症につながる危険性を秘めており過眠症を念頭に置いた鑑別診断と適切な治療が重要である。


カルシウム (かるしうむ、Calcium)
人体に最も多く含まれるミネラルであり、骨や歯を形成する。 カルシウムには気持ちを落ち着かせて穏やかな睡眠に誘導する作用があるが、過剰摂取には副作用もあるので注意が必要。また、カルシウムと同時にマグネシウムをバランスよく摂取することが大切である。


緩徐眼球運動(かんじょがんきゅううんどう、slow eye movements: SEMs)
睡眠中の眼球運動は、急速眼球運動と緩徐眼球運動とに分類され、緩徐眼球運動は、寝入りばなに徐々に眠くなる、いわゆる睡眠段階1のとき、左右にゆっくりと動く目の特徴的な運動である。眼球に角膜側をプラスとして、網膜側にマイナスとする電位が存在することを利用して記録する。
ただし、その眼球運動は眠りに入りつつあることを示してはいるが、眠気の強弱を示しているわけではない。


眼電図(がんでんず、electrooculogram, EOG)
角膜は網膜に対してプラスに帯電しており、眼球運動などにより電位に変化が生じる。この電位変化を測定記録したもの。一般的には、電極を目尻の横(こめかみ付近)に装着し測定する。睡眠中の眼電図の測定により、レム睡眠に特徴的な急速眼球運動をモニターことができる。


奇異反応(きいはんのう、Strange reaction)
ベンゾジアゼピン系睡眠薬では、ごくまれに、興奮して上機嫌になり抑制を欠いた行動をとったり攻撃的な行動をとったりすることがある。こうした反応を、奇異反応と呼ぶ。大脳皮質によって抑制されている情動機構の抑制が解除され、不安や興奮を産んでしまうことによるとされる。  いわば、いらだちや不安を取り除く薬の作用とは反対の症状、すなわち、いらだちや不安が増幅される状態が現れることになり、薬の量が多い場合やアルコールと一緒に服用した時には起こりやすいとされている。


季節性感情障害(きせつせいかんじょうしょうがい、seasonal affective disorder)
ある特定の季節に症状が現れるうつ病のことをいう。晩秋から冬にかけて症状が現れて、春先によくなるものが多く、日照時間が関係しているといわれている。緯度の高い北欧やロシアでは冬の日照時間が短い季節に多発する傾向がある。過眠や過食(特に甘いものを好んで食べる)などの非定型な症状が現れることがある。冬季うつ病(winter depression)あるいは季節性うつ病(seasonal depression)とも呼ばれる。


急速眼球運動(きゅうそくがんきゅううんどう、rapid eye movement, REM)
睡眠中に閉じたまぶたの下で不規則に起こる眼球の激しい運動。急速眼球運動を伴う睡眠を、急速眼球運動(Rapid Eye Movement)の英語の頭文字をとってレム(REM)睡眠と名づけられた。


恐眠症(きょうみんしょう、Hypnophobia)
恐眠症とは、眠ることに対して不合理で過剰な恐怖を抱く現象のこと。眠ることで自身をコントロールできない状態になることや、悪夢を繰り返し見たりすることへの不安、あるいは「睡眠時間を何か別の作業に充てられたのではないか」「もっと遊べたのではないか」などという時間の損失に対する不安によるものであると考えられる。


鏡映文字(きょうえいもじ、Mirror letter)
鏡に映したように左右逆転した文字。幼児が文字を書くときに左右が逆転することがあり、逆文字、裏文字などとも呼ばれる。また、不対象な図形を描くときにも左右逆転することがある。幼児の場合は、左右の関係把握がむずかしい、利き手がまだ十分に分化していないことなどによる。
この鏡映文字を大人が書くには、一定の時間やトレーニングが必要だ。また、睡眠中に記憶は定着・強化されるといわれているが、このような運動スキルの向上に働きかける記憶、学習にも睡眠が効果的であることがわかってきた。


鋸歯状波形(きょしじょうはけい、Saw‐tooth wave)
睡眠時に見られる脳波の派形の一つ。レム睡眠急速眼球運動と骨格筋の筋活動の低下が特徴だが、その睡眠脳波はノンレム睡眠睡眠段階1(ステージ1、寝入りばなの、うとうととした状態)と類似した低振幅パターンであり、そのなかに特徴的な鋸歯状の波がしばしば出現する。その脳波のことを鋸歯状波と呼ぶ。
計測される脳波としては3〜6Hzで持続時間は10秒以下とされる。一般にはノコギリ波とも呼ばれている。


筋弛緩作用(きんしかんさよう、Line relaxation action)
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬の主な副作用には、持ち越し効果、記憶障害、筋弛緩作用、奇異反応などがある。筋弛緩作用とは、こうした作用のうち筋肉を弛緩させてしまうこと。 高齢者ほどこの作用が強い傾向があるとされ、立ち上がったときに足腰に力が入らずに、ふらついて転倒し、骨折してしまうこともある。


筋電図(きんでんず、electromyography, EMG)
骨格筋が休んでいるときの収縮状態を筋繊維群の活動電位を測定することにより記録したもの。睡眠中はレム睡眠期やノンレム睡眠期など睡眠ステージによって筋の緊張状態が変動しています。レム睡眠とノンレム睡眠を区別するために、睡眠中の筋電図の測定を脳波や眼電図などの測定と同時に行う。また、筋電図は筋肉、末梢神経、筋接合部などの状態を検査するためにも使用される。


筋トーヌス(きんとーぬす、 muscle tonus)
筋緊張ともいう。筋の伸張に対する受動的抵抗、または筋に備わっている張力。 筋トーヌスは生体の姿勢保持機構や体温調節機構にかかわり、特に姿勢保持機構は、運動あるいは姿勢を保つときに活動する骨格筋の準備状態に重要な意味を持つとされる。レム睡眠時には低下し、ノンレム睡眠時には保たれる。


グリシン(ぐりしん、Glycine)
グリシンは人間の体を作るタンパク質を構成するアミノ酸の一つである。アミノ酸の中では最も簡単な構造をしている。 グリシンが充足しているかどうかで、その時の睡眠の質が変わってくるといわれる。グリシンが充足していれば、良質な眠りが得られ、不足していると眠れなくなるといったことも起こりうる。


グルタミン酸(ぐるたみんさん, Glutamic acid)
グルタミン酸とは体内で合成することができる非必須アミノ酸の一種で、興奮系の神経伝達物質としても働く。また、脳の興奮を鎮めるGABAを生成する働きがある。
うまみ成分としても知られ、昆布などの海藻や白菜、緑茶、トマトなどの植物性食品に含まれている。 天然のグルタミン酸を過剰に摂取すると、睡眠障害や神経症、幻覚などが生じる恐れがあるといわれている。また、化学調味料であるグルタミン酸ナトリウムを過剰に摂取すると、頭痛やのぼせ、手足のしびれが起きる作用がある。


グレリン(ぐれりん、ghrelin)
胃から産生されるホルモンで睡眠物質の一つとされている。成長ホルモンの放出促進作用や徐波睡眠の誘発作用がある。食欲を増進させる働きもある。
食欲を抑えるホルモンとしてレプチンが知られているが、睡眠時間が少なくなると、レプチンが減少し、グレリンが増加することがわかっている。これが「寝ないと太る」といわれることに関係するとされている。


群発頭痛(ぐんぱつずつう, Cluster headache)
群発地震のように集中して頭痛が起こることが名前の由来である。一度痛みが表れると毎日のように起こる。その痛みは、目の奥や周りから側頭部まで広がり、突き刺すような激しい痛みが15分〜3時間くらい続く。「目の奥がえぐられるような痛み」だと表現されることもあり、頭痛のなかでは最も激しく痛むものである。
夜中から明け方に起こりやすいことから、睡眠を阻害される原因になる。



経鼻的持続陽圧呼吸療法(けいびてきじぞくようあつこきゅうりょうほう、Continuous Positive Airway Pressure)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法の一つ。Continuous Positive Airway Pressureの頭文字をとって、シーパップ(CPAP)と呼ばれている。鼻に装着したマスクから空気を送りこむことによって、一定の圧力を気道にかける、睡眠時無呼吸症候群の最も重要な治療法となっている。
CPAPを使うと、その風圧によって柔らかい組織を強制的に押し開き、喉に呼吸のためのスペースが確保される。患者のなかには一晩で劇的に睡眠時無呼吸症候群の症状が改善される人もいて、多くの患者は使った日からいびきをかかなくなり、昼間の眠気も軽くなる。


傾眠(けいみん、somnolence, drowsiness)
うとうと状態。睡眠の程度は浅いが、意識レベルは低下している。頻繁に傾眠状態になったり、場所を選ばずにどこでも傾眠状態になるようだと過眠症が疑われる。


月経随伴睡眠障害(げっけいずいはんすいみんしょうがい、Menstruation accompanying sleep disorder)
思春期になると女性ホルモンの分泌が急激に高まり、20〜30歳代でピークを迎え、その後40歳を過ぎたあたりから卵巣の退化とともに卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が著しく低下する。また、月経周期や妊娠・出産などで女性ホルモンの分泌量はめまぐるしく変化する。このように女性は周期的および年齢によって女性ホルモンの分泌が変化するので、男性に比べて睡眠障害が起こりやすい。月経随伴睡眠障害はその一つで、月経や妊娠といったホルモンのバランスに起因する睡眠障害といえる。月経随伴睡眠障害は概ね、月経前不眠症、月経前過眠症、閉経時不眠症の3パターンに分類される。閉経時不眠症は更年期でホルモンのバランスが乱れることによって自律神経が乱れ、睡眠中でも急に暑く感じたり、寝汗をかくようになったりして、夜中に頻繁に目が覚めて熟睡できなくなる。近頃の研究では、女性ホルモンのなかでも特に、月経前に分泌される黄体ホルモンが睡眠の質を悪化させてしまっている原因であることがわかっている。


健忘作用(けんぼうさよう、Poor memory action)
睡眠薬を飲むことで、ある時間の記憶の一部または全部を思い出すことができない状態になることがある。これが「健忘」で、健忘作用とは、睡眠薬がそのような状態を起こす作用のこと。 短い時間で効くとされるベンゾジアゼピン系睡眠薬を飲んだにもかかわらず、起きたままでいると、まれに健忘が生じて、寝入るまでの起きている間のこと、また途中で起きたときのことなどが記憶に残らないことがある。そのため、睡眠薬を飲んだらすぐに就寝することが大切だ。 また、健忘はアルコールと睡眠薬を併用した場合に起こりやすくなるので、睡眠薬服用時は飲酒を避けることにも注意したい。


幻視 (げんし、Visual hallucination)
入眠時幻覚など幻覚の一つで、実際にはないものがあるように見えること。一方、薬によって起きる精神症状の副作用で起こることもある。そのタイプとして一番多いのが薬剤性の幻覚で、なかでも幻視が多いとされる。薬剤の副作用による幻視はパーキンソン病の治療薬においても起こり得る。薬剤を飲むようになって、怒りっぽくなった、気が短くなったなど性格の変化が出てきたり、睡眠障害の兆候が出てきたりしたら要注意だ。


原発性過眠症(げんぱつせいかみんしょう、Primary hypersomnia)
過眠症の診断基準を満たすが情動脱力発作は認められないもので、既知の睡眠障害、器質的原因によるものは除外される。 睡眠時無呼吸症の症状(夜間の呼吸停止、典型的な間欠的大いびきなど)が認められる場合には、睡眠時無呼吸症との合併である可能性もある。 治療法は夜間睡眠の異常があれば規則正しい睡眠習慣に戻すこと、日中残る過眠に対しては覚醒効果をもつ精神賦活剤を朝と昼に投与するなどがある。


原発性不眠症(げんぱつせいふみんしょう、Primary insomnia)
原発性不眠症は日常生活で誰にでもあるようなちょっとした出来事やストレスなどをきっかけとして不眠が始まり、そのようなきっかけとなった出来事が消滅した後になっても不眠の症状だけが持続してしまう症状である。 原発性不眠症は不眠症の中で最も数多く認められる睡眠障害で、少なくとも1か月以上にわたって、入眠困難や間欠的な覚醒早朝覚醒などの症状が続く。


交感神経 (こうかんしんけい、 Sympathetic nervous system)
交感神経とは、「昼の神経」「活動する神経」などと呼ばれており、昼間、活動的なときに活性化する神経であり、副交感神経とともに自律神経系を構成する。交感神経は脈拍や呼吸数の増加、体温の上昇などの反応を引き起こし、身体を予想される激しい活動に備えた状態にする。


高照度光療法(こうしょうどひかりりょうほう、High illumination light therapy)
太陽光やそれと同等の光を与えることにより、体内時計を調節して生体リズムを整える治療法のこと。朝、太陽光または高照度光療法器具を使用して2500ルクス以上の光を目から取り入れることにより、体内時計をリセットしてメリハリのある生体リズムをつくる。
ただ、実際に高照度光療法を行う際には、2500ルクスでは十分ではないんので、高照度光療法器具を短時間で5000〜1万ルクスのより高照度の光を使用するケースが多い。
概日リズム睡眠障害や季節性のうつ病などに効果があるとされている。


高振幅徐波(こうしんぷくじょは、HVS; high voltage slow wave)
ノンレム睡眠での睡眠段階3、4の徐波睡眠段階と呼ばれる深い眠りの段階での脳波の特徴。1秒間に3回ほどしか繰り返さない徐波で、その波の振幅が大きいことから、高振幅徐波と呼ばれている。


交代勤務睡眠障害(こうたいきんむすいみんしょうがい)
交代勤務労働者、パイロット、医師・看護師、長距離ドライバー、警備員、夜間の飲食店従業員など昼夜逆転して働く、あるいは昼夜を通して働く人々は体内時計のリズムに逆らった生活を余儀なくされている。体内時計のリズムと覚醒と睡眠の生活サイクルのずれにより、過眠や不眠の症状が出現する。また、不規則な就業形態による睡眠不足も睡眠障害の原因となる。作業効率の低下や作業ミスによる事故につながる危険性など重大な問題を抱えており、社会的認知度の向上と対策が必要である。


抗ヒスタミン剤(こうひすたみんざい、Antihistamine)
薬のなかに含まれる、眠気をもたらす物質の一つ。神経伝達物質の一つであるヒスタミンには覚醒作用があるが、このヒスタミンの働きを抑える抗ヒスタミン剤には覚醒を抑える作用、すなわち眠気をもたらす作用があるということになる。ヒスタミンがヒスタミンの受容体と反応するのを妨害してアレルギー反応を抑えようとするということになる。
一般に、花粉症などのアレルギーの諸症状を緩和させるため、風邪の諸症状の緩和のためのほか、睡眠改善薬、乗り物酔いの薬などに含まれる。


午前睡(ごぜんすい)
午前中に睡眠すること。特に、午前中に元気の出ない幼児がいるとして、午前10時半すぎから11時半すぎくらいまでの1時間など、午前睡を提唱する保育園などがいくつかある。
ただし、昼行性を原則とする人間社会において、将来的にはあまり有益とはいえないとする医師もいる。


こむら返り(こむらがえり、Cramp)
「腓(こむら)=ふくらはぎ」に起こる筋痙攣の総称である。原因として、筋肉の疲労、電解質バランスの乱れ・栄養不足、加齢による筋肉量の減少や血行不良、椎間板ヘルニア、糖尿病、動脈硬化といった疾患などがあげられる。 頻繁に起きる場合は、身体が何らかの不調のサインを出している可能性があり、原因を突き止めそれに応じた対処が必要になる。


コリック(こりっく、Colic)
生後2週間から100日前後までの乳児が、午後から夕方に毎日のように泣く状態。黄昏泣き、夕暮れ泣きとも呼ばれる。コリックは国際的に認められた症状であり、日本では臍疝痛(さいせんつう)と訳される。一見、乳児の夜泣きと似ているが、夜泣きとは異なる。
夜泣きの定義は、「睡眠サイクル、概日リズムが不安定な時期(4か月くらい〜1歳半くらい)に、夜中を朝と感じて目覚めてしまい、その環境がまったく違うことに戸惑いを感じて泣く行為」ということ。コリックとは発生時期が異なるわけだ。


コルチコステロイド(こるちこすてろいど、Corticosteroid)
コルチコステロイドとは、血圧を維持し、血糖値を高めるホルモン。睡眠に重要な役割を果たすメラトニンは夜間に分泌されるが、その分泌が減少する明け方からコルチコステロイドの分泌量が上昇して朝にピークを迎え、夕方から夜にかけて分泌量が最低値になることが知られている。
また、ストレスに対抗するために不可欠なホルモンで、夜更かし、朝寝坊、寝不足が続くとコルチコステロイドの分泌パターンに齟齬が生じ、夜間の分泌低下が十分には起こらなくなる。そのため血圧の上昇や肥満、老化が促進する可能性もあるとされる。


コルチゾール(こるちぞーる、Cortisol)
副腎皮質から分泌される副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)の一つ。ストレスに反応して分泌されるため、アドレナリンなどと同様に、「ストレスホルモン」と呼ばれることもある。糖やたんぱく質の代謝や血圧の調節に関わり、ストレスを受けると分泌量が増え、心拍数や血圧、血糖値の上昇をうながす。
睡眠中は肝臓のグリコーゲンや体内の脂肪などを分解してエネルギー源にしているが、その脂肪を分解するのが、成長ホルモンとコルチゾールとされている。すなわち、コルチゾールはメラトニンと同様に、サーカディアンリズムに関連するホルモンで、睡眠初期のノンレム睡眠で分泌が抑制され、朝起きる前後に分泌が増える。


混合型睡眠時無呼吸症候群(こんごうがた・すいみんじ・むこきゅうしょうこうぐん、mixed type sleep apnea syndrome)
閉塞型睡眠時無呼吸症候群中枢型睡眠時無呼吸症候群が混在している疾患のこと。


昏睡(こんすい, Coma)
昏睡とは意識障害の一つで、意識障害の中で最も重いものである。外部からどのような刺激が加えられても反応がない状態とされる。ただ、脊髄反射は認められる。
脳死や植物状態、睡眠など似た状態がいくつかあるが、いずれとも異なる。



サイトカイン(さいとかいん、cytokine)
白血球などの細胞から放出されるタンパク質で生理活性を有し、特定の細胞の情報伝達を担っている。サイトカインには様々な種類があり、炎症、免疫、脳機能、細胞の増殖・分化など多彩な機能を有している。インターフェロン、腫瘍壊死因子(TNF)、神経成長因子(NGF)など数百種類のサイトカインが発見されている。


サーカディアンリズム(さーかでぃあんりずむ、circadian rhythm)
体内時計により刻まれる1日の周期的なリズムのことをいう。概日リズムともいう。ラテン語でサーカ (circa) は約を意味し、ディアン (diem/dian) は1日を意味するので、すなわち、約1日のリズムという意味になる。生体内の視交叉上核にある体内時計の働きによって1日のリズムが形成される。したがって、この時計が狂うと様々な睡眠障害が起こる。


サーカディアンリズム睡眠障害(さーかでぃあんりずむすいみんしょうがい、circadian rhythm sleep disorders)
サーカディアンリズムの異常による睡眠障害。交代勤務睡眠障害睡眠相前進症候群睡眠相後退症候群ジェット時差症候群非24時間睡眠・覚醒障害などの疾患がある。概日リズム睡眠障害あるいは睡眠・覚醒リズム障害などのほうが一般的。


錯乱(さくらん、Confusion)
精神に異常をきたして暴れたりわめいたりすること、また、その状態。睡眠の早い時期(入眠後1〜3時間)に起こる異常行動は覚醒障害と呼ぶが、覚醒障害のうち、うめいたり、泣き叫んだり手足をバタバタさせたりするような行動を錯乱性覚醒と呼ぶ。
錯乱は、精神障害者に対する睡眠薬投与でも現れることがある。


錯乱性覚醒(さくらんせいかくせい、Confusion-related awakening)
錯乱性覚醒は、睡眠時随伴症覚醒障害の一種。覚醒時錯乱とも言う。睡眠はノンレム睡眠レム睡眠が1セット(睡眠周期)と考えられるが、とくに赤ちゃんや小児は深いノンレム睡眠の終わりに目を覚ますことがある。中途半端で不完全な目覚めで、そのとき子どもによっては覚醒障害を起こすことがあり、その覚醒障害は、錯乱性覚醒、睡眠時遊行症夢遊病)、夜驚症睡眠時驚愕症)の3種に大別される。
錯乱性覚醒は文字どおり不完全な目覚めの際に錯乱した状態になり、うめいたり、泣き叫んだり、手足をバタバタさせたりし、その行動は数分から数時間に及ぶケースもある。しかし、当人はその記憶がほとんどない。年齢的には5歳以下の子どもに多く、成人ではまれだ。


サマータイム(さまーたいむ、Daylight saving time)
英語では「サマータイム」ではなく、DST(デイライト・セイビング・タイム)と言う。太陽の自然光をできるだけ有意義に使おうと言う発想のもと、春から夏にかけては時計を1時間進めて夏時間とするしくみ。
夏時間のときに時計を1時間進めるとすると、朝、同じ時刻に起床したとしても、春から夏は1時間早起きに、冬は1時間寝坊するということになる。すると、体内時計への影響も無視できない。また、諸外国では、夏時間に切り換えた期間に睡眠時間が減少するという報告もある。
特に、夏時間への切り替えの際は、睡眠時間の減少によって眠気を催すことはもちろん、心筋梗塞などを起こす人が増えるケースもあり得るという指摘もある。日本睡眠学会でも、かつて、生体リズムへの影響、眠りの質への影響、眠りの量への影響などの点を考慮した議論が必要だと指摘している。


酸素飽和度(さんそほうわど、Oxygen saturation)
サチュレーションとも呼ばれる。赤血球中のヘモグロビンのうち、酸素と結合しているヘモグロビンの割合、すなわち体のなかの赤血球と酸素の結びつきの程度を指す。正常な動脈血の酸素飽和度は97%以上である。計測はパルオキシメーターなどを使って行われるが、睡眠時無呼吸症候群などにより無呼吸の状態を繰り返すと、肺における酸素の取り込みが弱くなり、酸素飽和度が低下する。
ちなみに睡眠時無呼吸症候群は、「睡眠中に10秒以上の無呼吸が1時間に5回以上、または7時間に30回以上繰り返される病気」と定義され、酸素の取り込みが弱いため、朝の目覚めがよくなかったり、頭痛に悩まされたりするケースもあり、昼間に眠くなり居眠りしてしまうこともある。


シータ波(しーたは、Theta wave)
4〜8Hzの周波数の脳波で、主に寝入りばなや麻酔を打たれたときなど、うつらうつらしている浅い睡眠中に見られ、海馬周辺より発生するとされる。主に記憶力に関連すると考えられ、盛んに研究が進められている。
また、シータ波には、「覚醒θ波」と呼ばれる、瞑想やヨガなどのかなり集中したときに発生する波長が存在するとされ、この波長は、人間のインスピレーションやヒラメキを促進する効果があるといわれている。


シエスタ(しえすた、Siesta)
昼休み、昼食後の3時間くらいの仮眠休憩(午睡)のこと。イタリアやスペインなど南欧の国では昼食後に睡眠を取る習慣が残っていて、語源はラテン語の HORA SEXTA(6番目の時刻)からきている。かつてスペインの殖民地であったアルゼンチンなどにも、この習慣が残っている。
なお、近年はEUなどの影響により、国際交流が重要視されるため、官公庁では他の加盟国の国情を考慮してシエスタの慣習をやめる傾向もある。


ジェット時差症候群(じぇっとじさしょうこうぐん、jetlag syndrome)
5時間以上の時差のある地域にジェット航空機で移動した際に、現地時間に対して不適切な時間に眠くなったり覚醒したりする睡眠障害。一般的に、時差ぼけとも呼ばれている。単に時差症候群とも呼ばれる。


時間生物学(じかんせいぶつがく、Chronobiology)
すべての生物のすべての構造段階(共同体、個体群、個体、器官、組織、細胞など)における自律振動現象、とくに環境サイクルの長さに似た振動(概リズム)を記載し、その機構や適応機能を扱う分野の学問のこと。
生物に内在する生物時計を研究する学問分野であり、生物の状態や活動を時間的な過程を追って科学する学問ということもできる


視交叉上核(しこうさじょうかく、suprachiasmatic nucleus)
左右の眼球の後ろから出ている視神経が脳の底部で交叉する部分を視交叉という。そのすぐ上に存在するため視交叉上核と呼ばれる。視交叉上核はおよそ1万個の神経細胞体が集まって形成されていて、ここに体内時計が存在する。目から入ってくる光刺激を監視して、睡眠と覚醒のリズムや体温・ホルモン分泌・代謝などをリズミカルに調節する働きをし ている。


視床下部(ししょうかぶ、hypothalamus)
脳内の間脳という領域に存在し、主に自律神経や内分泌系の機能を調節している。体温調節、摂食行動、呼吸運動、性行動、睡眠調節など生命の維持に重要な生理機能を調節している。近年、情動脱力発作を伴うナルコレプシーの病態として視床下部のオレキシン神経細胞の脱落が報告され話題となっている。


自然覚醒(しぜんかくせい、Natural awakening)
人が眠りから目覚める方法には強制覚醒(目覚まし時計や他の人に起こされるなど、外からの要因で目覚める)と自発的覚醒(外からの要因に頼ることなく起きる場合)があり、自発的覚醒は自己覚醒と自然覚醒に分けられる。自己覚醒とは自分があらかじめ決めた時刻に起きることで、自然覚醒とは起きる時刻を決めずに自然に起きる時刻にまかせて起きることである。
自己覚醒と自然覚醒では、副腎皮質ホルモンの分泌で異なるメカニズムが働くとされる。通常、副腎皮質ホルモンが午前4時から7時の間に多く分泌されるため、自然覚醒では朝になると自然に目が覚めるということになる。


持続陽圧呼吸療法(じぞくようあつこきゅうりょうほう、continuous positive airway pressure)
持続陽圧呼吸療法とは、呼吸装置からエアチューブ、鼻マスクを介して気道内に陽圧(外部よりも高い圧力)をかけ、気道の閉塞を防ぐことにより、無呼吸を取り除く療法で、夜間のみ使用する。無呼吸、低呼吸、いびきの改善などに利用される。


自動症(じどうしょう、automatism)
自分では意識的に行動していると思っていても、茶碗を冷蔵庫にしまったり、気づくと自宅前を通り過ぎていたりなどの奇妙な行動を無意識にしてしまうこと。ナルコレプシーなどの過眠症の症状として出現することがあります。浅い眠りに入っている状態での行動であるため、呼びかけると容易に目が覚め現実に戻ることができる。側頭葉てんかんでも出現する症状です。


シフトワーカー(しふとわーかー、shift worker)
シフトワークの就労形態で働いている人のこと。体内時計のリズムに逆らった不規則な労働のために、眠気・集中力の低下・慢性疲労などによる作業効率の低下や作業ミスや事故の要因につながるなどの社会医学上の問題と体調不良や概日リズム障害などの健康を害する労働医学上の問題がクローズアップされてきている。


シフトワーク(しふとわーく、shift work)
1日である24時間を複数の時間帯に分けて、交代性で24時間休むことなく業務を続ける就労形態。日中勤務と夜間勤務がスケジュールで複雑に組み込まれることが多く、労働医学上の問題を抱えている。


嗜眠(しみん、lethargy)
異常に眠く、眠り続ける状態。通常の睡眠とは異なり、強い刺激を与えないと覚醒しない。高熱や流行性脳炎などで嗜眠が出現することがある。


習慣性医薬品(しゅうかんせいいやくひん、habit-forming drugs)
使い続けることによって習慣性が生まれるおそれがあるとして厚生労働大臣が指定する医薬品の総称。催眠鎮静剤、抗てんかん剤、モルヒネなどが指定されている。主に催眠剤としての効能を示すものが該当し、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬やオピオイド系の鎮痛薬が多い。
催眠剤としての効能をもっているものは、すべて習慣性医薬品として指定されているといってよい。


周期性四肢運動障害(しゅうきせいししうんどうしょうがい、periodic limb movement disorder)
夜間ミオクローヌスと呼ばれていた疾患。睡眠中に手足、特に下肢に不随意運動が周期的に出現する。このために睡眠が妨げられ、日中の過眠が起こりやすくなる。加齢により発現頻度が高まりますが、その発症原因は解明されていない。


終夜睡眠脳波(しゅうやすいみんのうは、All night sleep brain waves)
一晩を通して脳波を測定することによって、被験者がどのように睡眠段階を経過しているかについて判定する指標の一つ。
通常は脳波だけでなく、心電図や筋電図、また眼球運動(眼電図)や呼吸曲線を同時に記録する。


熟眠困難(じゅくみんこんなん、It has difficulty with sleep carefully)
不眠症の症状は、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟睡困難の4タイプに分かれる。熟眠困難はこの4タイプのなかで、いわゆる「眠りが浅い」という症状だ。夜中に何度も目が覚めてしまうケースや朝まで寝ていても熟睡した満足感がないケースがあり、睡眠時無呼吸症候群や自律神経失調症、ストレスなどが原因として考えられるが、生活習慣の乱れも大きく影響している。熟眠困難は熟眠したという満足感がない症状なので、目覚めたときに睡眠不足を感じてしまう。睡眠が中断される中途覚醒の場合は、ほとんど熟眠困難を伴う。


上気道抵抗症候群(じょうきどうていこうしょうこうぐん、UARS:Upper airway resistance syndrome)
軽度の睡眠呼吸障害であり、閉塞型睡眠時無呼吸症候群の亜型とされる。何らかの原因で上気道が狭くなり、呼吸による空気が流れにくくなり呼吸抵抗が強くなる。努力しないと呼吸が十分にできないので、睡眠が分断されたり、激しいいびきをかいたりする。
睡眠の分断や不足のため、日中に思考力や集中力が低下したり、激しい眠気に襲われたりすることがある。


ショートスリ-パー(しょーとすりーぱー、short sleeper)
ヒトの平均睡眠時間は6から8時間といわれているが、もちろん個人差がある。日常的に、5時間以下の睡眠でありながら、日中に眠気、疲れ、作業効率の低下などがなく、日常生活に支障が生じない人のことをショートスリーパーという。


情動脱力発作(じょうどうだつりょくほっさ、cataplexy)
ナルコレプシーを特徴づける症状で、大笑いをしたり、あるいは喜んだりするなどの感情が強く働いたときに、からだの力が抜けてしまう発作のこと。まぶたが垂れる程度の軽いものから、頭が垂れ下がる、膝がくずれる、さらには転倒してしまうような重度のものまで様々な脱力発作が起こる。発作の長さは数秒から数分以内で、発作時でも意識がはっきりしているのが特徴。 カタプレキシーとも呼ばれる。新しい国際診断基準では、情動脱力発作を伴わないナルコレプシーの存在も認められている。


徐脈(じょみゃく, Bradycardia)
徐脈は不整脈の一種で、洞性徐脈、徐脈性不整脈とも言われる。成人の安静時心拍数は一般に毎分60〜75回(bpm)であるが、60回未満(bpm)を徐脈と定義する。徐脈は脳に必要な血液を送ることができなくなるため、めまい、失神、ふらつきなどが起きたり、ときに理解力や記憶の低下が見られボケに似た症状が出たりする場合などがあり、こうしたケースでは適切な治療が必要となる。生活習慣でも引き起こされ、ストレスや睡眠不足が要因になるといわれている。


白河夜船(しらかわよふね、Sleeping like a log)
日本のことわざで、ぐっすり眠り込んで、何が起こったか知らないことをたとえていう言葉。「グースカと寝過ごしてしまい、記憶にない」といった状態を意味する。「京都の白河のことを聞かれた人が、地名とは知らずに川の名と勘違いして、夜船で通ったから知らないと答えたため、京都見物に出かけたという嘘がばれてしまった」という逸話にもとづいている。
転じて、「知ったかぶりをすること」としても使われる。


自律神経 (じりつしんけい、automatic nerve)
自律神経とは血管、リンパ腺、内臓など自分の意思とは無関係に働く組織に分布する神経系のこと。呼吸や代謝、消化、循環など生命活動の維持やその調節を行い、絶えず活動している神経。自律神経には交感神経副交感神経がある。この自律神経のバランスが崩れると、さまざまな睡眠障害を引き起こす原因になる。


自律神経失調症(じりつしんけいしっちょうしょう、dysautonomia)
自律神経失調症とは、交感神経副交感神経の2つから成り立つ自律神経のバランスが崩れた場合に起こる症状の総称のことである。原因は様々考えられるが、少なくとも患者の半数は日常生活上のストレスを感じていると言われている。


心筋梗塞(しんきんこうそく、myocardial infraction)
心臓の主要な動脈である冠状動脈の一部で血液の流れがとだえることにより、そこからの血液供給がなくなった心筋細胞が死滅する病気。死亡率が高い疾患である。代表的な過眠症のひとつである睡眠時無呼吸症候群に罹患していると、睡眠時に酸素不足となり心筋梗塞を起こすリスクの高まることが報告されている。


深睡眠(しんすいみん、Deep sleep)
 身体や脳の休息(修復)や身体の成長など、身体の機能を維持するための重要な役割を担い、成長ホルモンもこの時間帯に分泌される深い睡眠。寝てから4段階あるノンレム睡眠の最も眠りの深い睡眠段階3〜4が深睡眠とされる。  目を閉じてから寝つくまで30分以上かかったり、夜中に3回以上目を覚ましたりするような人は深睡眠が十分に得られていない可能性がある。寝る前に軽い運動したり、入浴したりして身体を温めてから寝たり、首もとや目もとを温めて心と身体をリラックスさせたりしてから寝ることが大切。


心像(しんぞう、Image)
外界から目や耳などの感覚器官に刺激が与えられることなく再現された感覚的体験や映像のこと。
「なぜ、を見るのか」、すなわち「夢の理論」に関する大熊仮説でも、この心像(感覚心像)が夢を見る大きな引き金の一つになっているといえる。大熊仮説は「感覚映像−自由連想仮説」と呼ばれ、夢はある偶発的な視覚心像から出発する連想ストーリーであり、まず、急速眼球運動(REM=レム)など皮質下の感覚・運動情報が記憶システムを活発化し、記憶の貯蔵庫から感覚心像が取り出され、その映像をきっかけに連想が生じる、とする。


身体的依存(しんたいてきいぞん、Physical dependence)
薬剤の使用を中止すると、習慣作用として、一定の習慣性化学物質が継続的に体内組織に存在していることが欲求され、激しい精神や身体症状(不安、不眠、振戦、けいれん発作など)が起こる。これを身体的依存という。


深部体温(しんぶたいおん、deep body temperature)
脳や心臓など体の中心部の体温のこと。人の体は、深部体温と表面の皮膚体温があり、その温度は異なる。一般的に人の深部体温は37度前後だが、皮膚温度はこれより低く、手や足の温度はさらに低いことが多い。 人間の深部体温は、日中に高まり夜になると低下するという一日のリズムを持つ。睡眠もこの体温の変化と密接に関連しており、体温が低下することで脳は睡眠モードに切り替わる。


深夜(しんや、Midnight)
多くの人が睡眠をとる夜遅くの時間帯のことをいうが、人により状況により定義が異なる。たとえば法律では、労働基準法だと原則として午後10時から翌日の午前5時までの労働を深夜労働と規定している。
深夜に眠れない不眠症で日本人に多いタイプが中途覚醒だ。睡眠障害の4分類の1つで、夜中に何度も目が覚めてしまい、飲酒や頻尿、むずむず脚症候群といった睡眠を妨げる身体的な原因がある場合に起こりやすい。特に高齢者に多く見られ、60歳以上になると20%以上の人が中途覚醒を訴えているといわれる。


睡魔(すいま、sleepiness)
睡魔とは、引きずりこまれるような眠気、こらえきれない眠気のことだが、この眠気は「睡眠状態に陥る前の生理的現象」と捉えることができる。いわば、意識のレベルが低下して、外的な刺激に鈍感になっている状態のことだ。とくに昼食の後に睡魔が訪れるのは、ほぼ1日を周期とする体内時計のリズムのなかで、昼食を摂ると、腸から吸収された栄養素のうちブドウ糖が脳の食欲をつかさどる部分に満腹物質として作用して満腹感を感じ、それとともに、この満腹物質が睡眠物質として眠気も高めるからだ。また、食後には消化吸収のために血液が胃や腸に集中するため、脳への血流が低下することも影響している。


睡眠異状(すいみんいじょう、sleep disorders)
睡眠異状とは、夜勤が続いたり、3交代勤務を重ねたりで生活リズムが変わってくると起こる睡眠のリズムの変調のこと。体に変調をきたせば、一時的に強い眠気が襲ってきたり、平常時の夜に寝つけなかったりして不眠を訴えることもある。さらに、心臓病やうつ病のリスクをはじめ、胃炎、胃潰瘍、便秘、下痢など消化器系の病気を患うリスクを増大させることもあるから注意したい。


睡眠衛生(すいみんえいせい、sleep hygiene)
「睡眠の質や量の向上を目的とした入眠方法や睡眠環境の整備、さらに覚醒環境が睡眠に及ぼす影響を明らかにして、対策を講じる」といった意味で用いられる言葉。この睡眠衛生が不適切なものになると、過眠や不眠などの睡眠障害が起こりやすくます。寝室環境やコーヒーの摂取などによる睡眠問題も睡眠衛生の範疇です。


睡眠開始(すいみんかいし、Sleep onset)
睡眠が始まる時点のことを言うが、実は「睡眠がいつ始まるのか」を客観的に判定することは簡単ではない。その点、睡眠ポリグラフィーでは、標準的な睡眠開始の判定基準を次のように定めている。
1つは、「うとうと段階を過ぎて、最初に睡眠段階2が現れた時点」であり、もう1つは、「睡眠段階2の前の、うとうと状態が現れた時点」である。


睡眠覚醒移行障害(すいみんかくせいいこうしょうがい、sleep-wake transition disorder)
睡眠随伴症の一つに分類される睡眠覚醒移行障害は、起きている状態から睡眠へ移るときや、レム睡眠になったりノンレム睡眠になったりするときなど睡眠の移行期に見られる障害の一つ。睡眠が浅くなったり深くなったりするときの移行がうまくできなくなってしまうことで起こる。 一般的な症状は、下肢のこむらがえり、寝ている間のひきつけやびくつき、運動障害などが挙げられる。律動性運動障害のように、睡眠中に頭を打ちつけるなどの行動を起こすものもある。寝言もこの障害のカテゴリーに含まれ、特に寝言が本を朗読しているかのように長く続くこともある。


睡眠・覚醒リズム障害(すいみん・かくせいりずむしょうがい、sleep-wake rhythm disorders)
概日リズム睡眠障害またはサーカディアンリズム睡眠障害のこと。古い名称で最近ではあまり用いられない。体内時計の狂いによって生じる睡眠障害の総称。1日の覚醒と睡眠のリズムが狂うので、日中に過度の眠気が生じたり、真夜中に目が冴えるなどの障害が起こる。交代勤務睡眠障害睡眠相前進症候群睡眠相後退症候群ジェット時差症候群非24時間睡眠・覚醒障害などの疾患がある。


睡眠慣性(すいみんかんせい、Sleep forbidden zone)
目覚めたときに素早く覚醒状態に移行できず、睡眠が残留している状態。すなわち、目覚めたときに、しばらくの間、頭がボーッとして思考が働かない状態のこと。


睡眠禁止帯(すいみんきんしたい、sleep inertia)
19〜21時頃の、多くの人が眠りにくいとされる時間帯のこと。健康な人は睡眠中に体温は下がり続け、一方、体温のピークは、寝る前の3〜4時間前くらいとされる。また、体内時計による概日リズムによって眠気にもピークがあり、15〜16時頃と22時頃に眠くなるが、眠気が強くなる直前の19〜21時頃は眠気が非常に少なくなる。この時間帯は頭がさえているので、どんなに寝ようとしてもなかなか眠りに入ることができない。
早起きするために一刻も早く眠りたい時でも、この睡眠禁止帯に無理に眠ろうとしないほうが賢明だ。


睡眠恒常性(すいみんこうじょうせい、Homeostasis)
一般にホメオスタシスと呼ばれ、睡眠に関しては睡眠恒常性という表現で使われる。睡眠は「(脳が)疲れたから眠るしくみ」と「夜だから眠るしくみ」の2つのしくみによって起こるとされるが、そのうちの、「疲れたから眠るしくみ」を睡眠恒常性(維持機構)と呼ぶことがある。睡眠恒常性は時刻とは関係なく、覚醒していた時間の長さによって規定されている。
脳では起きている間に睡眠物質が産まれて溜まり、この睡眠物質が疲労に応じて脳を休ませると考えられている。この睡眠物資の代表が日本で発見されたプロスタグランジンD2。この睡眠物質は、起きているほどに脳脊髄液に溜まり、脳に働きかけて睡眠をもたらすとされる。


睡眠構造(すいみんこうぞう、sleep structure)
一夜の睡眠についての特徴を評価するための指標の一つ。 5段階あるといわれるノンレム-レム睡眠の各睡眠段階の出現する量や時期とそれらの持続性や相互関係などを計測し判断する睡眠構築に、脳波や心臓・呼吸などの生理機能を加えて評価するものを睡眠構造という。


睡眠構築(すいみんこうちく、Sleep construction)
一夜の睡眠について判定する総合的な睡眠の特徴のことを指す。
一般的には、複数の段階があるといわれているノンレム睡眠レム睡眠の各睡眠段階に関して、それぞれの睡眠段階が現れる量や時期をはじめ、それらがどのように持続しているか、また相互にどのように関係などを計測して、総合的に判定する。


睡眠効率(すいみんこうりつ、Sleep efficiency)
睡眠効率とは、睡眠時間として就床し、横になっている時間に対する実際に睡眠している時間の割合のこと。この割合は、一般に加齢とともに低下するとされる。正確に測定するためには、睡眠ポリグラフを利用して調べる必要がある。
また、自覚症状として、中途覚醒(夜中に目が覚めてしまう状態など)、入眠障害(横になってもなかなか眠れない状態など)がある場合は、「睡眠効率が悪い」といった言い方をする場合もある。


睡眠時間制限法(すいみんじかんせいげんほう、The sleep restrictions method)
1日の睡眠時間を制限することで、不眠恐怖といった不眠に対する過度な意識を抑えて減少させる治療法のこと。睡眠時間を定めて、正常時間帯に睡眠をとれば、眠りすぎなどによる睡眠障害が改善できる。また睡眠時間制限法を採れば、睡眠時間が短くなっても睡眠の密度を上げることができ、睡眠の質を高めることもできる。
夜、眠くないのに布団に入り無理に睡眠をとろうとして不安になる人がいるが、心療内科や精神科に相談のうえ、睡眠時間制限法などを活用して治療することが、健康で長生きする第一歩となる。


睡眠時驚愕症(すいみんじきょうがくしょう、sleepterrors)
夜驚症ともいう。多くは小児期にみられ、睡眠中に突然叫び声をあげるのが特徴で、恐怖の表情や呼吸が速くなる、多量の汗をかくなどの症状を伴う。多くは発育とともに自然に消失する。睡眠随伴症(parasomnias)の覚醒障害(arousal disorders)に分類される。


睡眠時多汗症(すいみんじたかんしょう)
睡眠時の発汗は、睡眠が深くなると視床下部の発汗中枢の体温のセットポイントが下がり、体温を下げようとすることによって起こる。ところが、寝ている間に大量の汗をかきすぎて、朝起きるとパジャマやシーツがびっしょりと濡れているような人がいる。 特に夏場など暑い時期は症状がひどくなることがあり、これらの症状を一般的には睡眠時多汗症と呼ぶ。一方、汗をかきにくいことと不眠とは密接に関係する。人間の体温は昼に体温が上がり夜に下がるというリズム(日内変動)を保ちながら健康を維持しているので、寝る直前に生理的な寝汗をかいて体温を下げることが大切だが、汗をかきにくいと体温を下げにくくなるため、寝る前に十分に体温が下がらず寝つきが悪い、つまり不眠になりやすいということになる。


睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん、sleep apnea syndrome)
睡眠時無呼吸症候群には閉塞性と中枢性があり、患者数が多く社会的にも問題となっているのは閉塞性睡眠時無呼吸症候群である。大きないびきが特徴で、睡眠中に呼吸が止まる無呼吸状態を何度も繰り返すため、睡眠の質が悪化し、慢性的な疲労感と日中の眠気に悩まされる。放置すると心血管疾患などを発症頻度が高まり危険である。睡眠時無呼吸症候群の詳細はこちらから。


睡眠周期(すいみんしゅうき、Sleep cycle)
レム睡眠にはおよそ90分ごとに現れる周期があるとされ、ノンレム睡眠とそれに続くレム睡眠までを1つの睡眠単位として睡眠周期と呼んでいる。一晩の睡眠ではこの周期が4〜5回繰り返されることになる。
生体時計が刻む生体リズムのなかで,よく知られているのは概日リズム(サーカディアンリズム)だが、そのほかにも、生体リズムには数十分から数時間の周期をもつウルトラディアンリズム(超日リズムとも言う)と呼ばれるリズムがある。睡眠のウルトラディアンリズムのサイクルは約90分で、ノンレム睡眠が60〜80分にわたって現れ、その後、レム睡眠が10〜30分ほど続いて1つの睡眠周期が終了し,この90分の睡眠周期が4〜5回くり返されて6〜8時間という1晩の睡眠となると考えられる。


睡眠時遊行症(すいみんじゆうこうしょう、sleep waking disorder)
深い睡眠中に突然起き上がり歩き回ることをいう。夢中遊行症とも呼ばれる。睡眠の程度が深く、周りの人が話しかけても容易に覚醒しない。本人はそのときの記憶がなく、子供に多い病気である。通常は、成長とともに自然消失していく。


睡眠障害(すいみんしょうがい、Sleep disorder)
睡眠障害は、広く睡眠に関する病気全般を指す言葉で、2005年につくられた睡眠障害国際分類第2版では、80を超える睡眠障害が取り上げられている(2013年には第3版が出たが、日本語訳はまだ出ていない)。第2版で睡眠障害は不眠症、睡眠関連呼吸障害、過眠症概日リズム睡眠障害睡眠時随伴症などのグループに大別されている。


睡眠障害改善剤(すいみんしょうがいかいぜんざい、Sleep disorder improvement agent)
入眠障害、熟眠障害(熟眠困難)、中途覚醒または早期覚醒の治療や予防に有効な薬の総称。「睡眠障害を改善する薬」と広く解釈すれば、催眠薬なども含まれる。
従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬は睡眠障害の改善のなかでも入眠作用に重点をおいているため、一般には睡眠導入剤や入眠剤と呼ばれている。だが、睡眠障害の全般に対する効果を考えた薬については、一般に睡眠障害改善剤という呼び方をしている。


睡眠障害国際分類(すいみんしょうがいこくさいぶんるい、Sleep disorder international classification)
アメリカ睡眠医学会がヨーロッパ睡眠医学会、日本睡眠学会、ラテンアメリカ睡眠学会の協力によって策定した睡眠障害の分類。最初に策定されたのは1990年。その後1997年に改訂された。改訂版の名称は「改訂睡眠障害国際分類」。その後、2005年には第2版が、2013年には第3版が公表されている。


睡眠障害の4分類(すいみんしょうがいのよんぶんるい、4 classifications of sleep disorder)
睡眠障害にはさまざまな原因、症状があるが、大別すると、「不眠症、ナルコレプシーに代表される睡眠異常」「夜驚症、夜尿症に代表される「睡眠時随伴症」、うつ病などに伴う不眠や過眠といった「内科・精神科的睡眠障害」、「その他(分類が特定されていない短時間睡眠者や長時間睡眠者)」の4つに分類される。 また、このうち睡眠異常については、「不眠症、過眠症、睡眠呼吸障害、概日リズム睡眠障害」などがあり、さらに、不眠症については、「入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害」の4つに分類されている。


睡眠状態誤認(すいみんじょうたいごにん、Sleep state misconception)
寝ている状態なのに脳が強く働き、本人は目覚めていると誤認してしまう症例。客観的な睡眠ポリグラフ検査のデータでは朝までぐっすり眠っていると判断できるのに、本人は起きていた、眠れなかったという状態である。
不眠症としては高齢者に多く、加齢によって睡眠時間が減少してもその自覚がなく、眠れないイメージを持ってしまったため誤認するケースがある。睡眠に対する「こだわり」が強いことが問題を引き起こしているということになる。
なお、不眠症としての睡眠状態誤認はまれなケースでもあり、睡眠障害ではないとされることもある。


睡眠随伴症(すいみんずいはんしょう、parasomnias)
睡眠中に繰り返し起こる好ましくない身体現象の総称。夢遊病や睡眠時驚愕症などの覚醒障害、寝言夜間のこむらがえり悪夢睡眠麻痺歯軋り夜尿症などさまざまなものが含まれる。


睡眠潜時(すいみんせんじ、sleep latency)
ベッドや布団に入って、消燈もしくは目を閉じてから入眠するまでの時間を睡眠潜時という。日中の眠気の程度を客観的に測定する指標として睡眠潜時が用いられる。反復睡眠潜時検査において、ナルコレプシーなどの過眠症患者では、平均睡眠潜時が8分未満である。健常人でも眠気が溜まっていると睡眠潜時は短くなる。


睡眠相後退症候群 (すいみんそうこうたいしょうこうぐん、delayed sleep phase syndrome)
体内時計が何らかの原因で遅れてしまうため、覚醒と睡眠のリズムが遅い時間帯のほうにずれてしまう病気。したがって、明け方近くまで寝付けず、眠ると昼過ぎまで目が覚めないという状態に陥る。若い人に多い傾向がある。


睡眠相時間療法(すいみんそうじかんりょうほう、sleep phase chronotherapy)
睡眠相後退症候群」の治療を目的として考案されたもので、毎日1時間ずつなど就床時刻を遅らせていき、入眠時刻が患者の希望する時刻まで後退したところで、適切な睡眠時間帯を固定する方法である。
一方、逆の症状を持つ睡眠相前進症候群でも同種の時間療法は用いられることも多い。この場合は、就寝・起床時刻を毎日数時間ずつ早めたりして、睡眠時間帯を固定する。


睡眠相前進症候群(すいみんそうぜんしんしょうこうぐん、advanced sleep phase syndrome)
体内時計が何らかの原因で進んでしまうため、覚醒と睡眠のリズムが早い時間帯のほうにずれてしまう病気。したがって、夕方になると眠気が生じ夜の早い時間帯に就寝してしまい、早朝に目覚めてしまう。


睡眠単位(すいみんたんい、sleep unit)
一般的な成人の睡眠時間は7〜8時間が健康的とされ、その間にレム睡眠(眠っていても目玉が動き、脳は覚醒に近い浅い眠り)とノンレム睡眠(ぐっすりと熟睡した状態の眠り)を繰り返す。このレム睡眠からノンレム睡眠に入りレム睡眠に至るまでを「睡眠単位」と呼び、成人の場合、その時間はおよそ90分とされる。つまり、人間は就寝中、90分ごとに浅い眠りと深い眠りを繰り返し、1日の睡眠時間では5回前後、繰り返していることになる。


睡眠段階(すいみんだんかい、level of sleep)
睡眠状態の指標として、睡眠ポリグラムの脳波、眼球運動、筋電図などにみられる種々の特徴から睡眠を段階に分けたもの。一般的にレム睡眠ノンレム睡眠4段階を加えた計5段階(レム睡眠、睡眠段階1睡眠段階2睡眠段階3睡眠段階4)に分類する。


睡眠段階1(すいみんだんかい1、Sleep stage1)
4段階に分けられるノンレム睡眠の第1段階。寝床に入ってうとうとして覚醒から睡眠へ移行する過程で、周囲の状況がある程度は把握できている状態。うとうとするにつれて脳の活動が低下し、シータ波という一定のパターンの脳波が現れる。寝入りばなで、呼びかけたり軽くゆすったりすれば、すぐに目覚めることができる睡眠の状態である。
なお、寝入りばなだけでなく、睡眠途中にも出現する。出現率は総睡眠時間の4〜5%程度とされる。
睡眠ポリグラフィーでは、覚醒時に見られるアルファ波が減少して断続的に検出されるようになる。


睡眠段階2(すいみんだんかい2、Sleep stage2)
睡眠段階1の後に訪れる睡眠段階。総睡眠時間の約50%から60%を占め、出現量が最も多いとされる。
睡眠ポリグラフィー上は大徐波と紡錘波の組み合わせであるK複合(短く大きな振幅の脳波)と12〜14Hzの中間速波が反復して現れる紡錘波の2つの脳波信号によって特徴づけられる。
一般には、軽い寝息をたてる中等度の睡眠状態のことと考えてよい。


睡眠段階3(すいみんだんかい3、Sleep stage3)
ノンレム睡眠は浅い睡眠から深い睡眠まで4段階に分けられるが、そのうちの中程度の睡眠のこと。睡眠ポリグラフ上は高振幅デルタ波の出現率が一区間の20〜50%を占める睡眠段階と定義される。深く寝入った状態であり、呼びかけなど外からの刺激にも反応しにくい。
リラックスした状態で、徐波睡眠があり、睡眠段階4の深睡眠期と区別はしにくい。睡眠段階3と4の違いは脳波上のことだけともする意見もある。
ちなみに、睡眠段階3と4のことを俗に深睡眠とも呼ぶ。


睡眠段階4(すいみんだんかい4、Sleep stage4)
ノンレム睡眠の最も深い段階。睡眠段階の第3、第4段階の差は明確とは言えず、「徐波睡眠」とも呼ばれ、体の修復作業を行う。入眠後約20分で最初の深い眠り(第3段階)に入り、体温の低下や呼吸、心拍数の減少が見られ、第4段階は 睡眠の最初のサイクルでは入眠後約1時間で到達するとされる。
第4段階の脳波は、睡眠ポリグラフィーでは50%以上が高振幅、低周波のデルタ波で占められている。総睡眠時間の12〜15%を占める。


睡眠日誌(すいみんにっし、sleep diary, sleep log)
毎日の睡眠状況、服薬、体調、気分などを記録するもの。睡眠日誌をつけることにより、日々の睡眠生活状況を把握でき、睡眠障害の診断、治療、生活指導などに役立てることができる。睡眠日記、睡眠手帳、睡眠表などとも呼ばれる。


睡眠の質(すいみんのしつ、quality of sleep))
睡眠にも、ほかの事象と同様に「量」と「質」があり、睡眠の量を「時間」と考えれば、睡眠の質は「浅い眠り」とか「深い眠り」といったように「浅い・深い」で考えられる。この睡眠の浅い・深いは一般に「レム睡眠・ノンレム睡眠」と解釈でき、その睡眠状態は一定の睡眠時間の間で交互に訪れる。つまり、睡眠の質とは、寝ている間、一様にぐっすり眠ることとは必ずしもいえず、むしろ、正しく浅い眠り・深い眠りを繰り返していること、ということになる。


睡眠負債(すいみんふさい、sleep debt)
1日に必要な睡眠時間を確保できないとその不足分が翌日に持ち越され、不足した睡眠時間分だけ余分に睡眠時間をとらないと疲労感や眠気を解消させることができない。このように不足した睡眠を睡眠負債という。睡眠負債を抱えると日中の疲労感や眠気の原因となるだけでなく、作業効率が低下し作業ミスを起こしやすくなる。


睡眠物質(すいみんぶっしつ、Sleep substance)
睡眠を起させる脳内物質のこと。動物の脳・血液中の濃度が上昇することで睡眠をもたらし、睡眠を持続させると考えられる生理的物質のことである。1865年にスイスのモニエ教授が、眠らせたウサギの血液を他のウサギの血管や脳に注入して睡眠させることに成功して初めて存在が確認された。
睡眠を誘発すると確認されている物質には、単に眠りを誘発するのではなく、睡眠-覚醒の生体リズムを調節する役割のものが多いとされる。


睡眠紡錘波(すいみんぼうすいは、sleep spindle)
ノンレム睡眠時の脳波に一時的に現れる12〜14Hzの振幅の小さい波。自覚的に眠りに入った状態のときに見られる。律動的に連続して出現する脳波の波形が紡錘の形に似ていることから紡錘波と呼ばれる。
睡眠段階2の判定には、この波の出現が必須である。


睡眠発作(すいみんほっさ、paroxysmal sleep)
睡眠発作とは、日中に突然、眠気に襲われ、実際に眠ってしまうことだ。情動脱力発作、睡眠麻痺(金縛り)、入眠時幻覚とともに、ナルコレプシーの代表的な症状の一つといわれる。一方で、従来はナルコレプシーと判断されていた症状のなかで、睡眠発作の症状があってもナルコレプシーの上記の診断基準に満たないケースもある。このうち、特に精神的なストレスが発端となって反射的に睡眠発作が起こる症状をストレス性睡眠発作と呼んでいる。


睡眠ポリグラフィー(すいみんぽりぐらふぃー、polysomnograhy, PSG)
睡眠障害を客観的に多角的に検査する方法。脳波(EEG)、眼電図(EOG)、筋電図(EMG)などを記録することにより睡眠構造の異常を知ることができる。睡眠時無呼吸症候群では、これらの記録のほかに心電図、呼吸運動、呼吸換気なども検査される。


睡眠麻痺(すいみんまひ、sleep paralysis)
俗に「金縛り」と言われるもので、医学的には睡眠麻痺と呼ばれる。寝入りばななどに出現する手足など体を動かすことができず、声を出すこともできない状態のことを指す。代表的な過眠症であるナルコレプシーの特徴的な症状のひとつであるが、健常人においてもしばしば体験する現象であり、思春期の頃に最も出現しやすい。睡眠麻痺は医学的に認知された病的な生理現象であるが、体験した人の多くは霊現象などに取り違えている。


睡眠酩酊(すいみんめいてい、sleep drunkenness)
目覚めたときに容易に覚醒状態に移行することができず、意識の混濁、失見当識、傾眠、協調行動がとれないなどの酩酊状態を呈すること。ときに、錯乱したり、攻撃的になったりする。


スタンフォード眠気尺度(すたんふぉーど・ねむけしゃくど、Stanford sleepiness scale, SSS)
スタンフォード大学で作成された眠気の自己評価尺度。詳細はこちらから。


ストレス性睡眠発作(すとれすせいすいみんほっさ、stress-induced narcolepsy)
ストレスを感じると、睡眠を抑制して体を緊張させる働きがあるACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が分泌され、このホルモンの影響によって、通常はストレスがかかると体が緊張状態になり、かえって眠れなくなる。ところが、このACTHは睡眠中に分解される。つまり、強いストレスを感じてACTHが多く分泌されると、そのホルモンを分解するために体は眠りたいという欲求に駆られる。このように、人間の体は強いストレスがかかると「眠りたいのに眠れない」という状態になる。一般に強いストレスがかかると不眠症に陥り、それはストレス性睡眠障害と呼ばれるが、一方で、ACTHの分泌より分解のほうが体に大きな影響を与えれば、ストレス性睡眠発作が起こるとも考えられる。


スミス・マジェニス症候群 (すみす・まじぇにすしょうこうぐん、Smith-magenis syndrome)
スミス・マゲニス症候群は染色体17番遺伝子の欠失または変異によって引き起こされる障害である。独特な顔、発達遅延、認知障害、および行動異常が特徴。患者の大多数に軽度から中等度の知的障害を認める。粗大および微細運動機能、表現言語機能の遅れは生後1歳で現れる。睡眠障害、常同症、不適応および自傷行為を含む行動異常は、成人まで変化し続ける。感覚統合問題も認められ、不注意、活動亢進、頻繁な感情の爆発・癇癪を含む不適応行動、自傷行為を示す。


精神生理性不眠症(せいしんせいりせいふみんしょう、Mind menstruation-related insomnia)
精神的な理由によって起こる不眠症の一つ。学習不眠、条件付け不眠とも呼ばれることもある。神経質な性格の人がなる傾向が強く、過去に睡眠に関するトラウマや失敗体験などがあり、そのことによって眠ること自体に緊張感を覚え、眠れなくなる不眠症のことである。
うまく寝つけなかった体験がきっかけで、眠ろうと努力するほどに眠れなくなる。寝室にいるだけで、あるいは眠る準備をするだけで緊張することもある。
精神生理性不眠症を訴える人は、一方で、居間でテレビを見ているとき、電車で座っているときなどはかえって眠れることが多い。


精神的発汗(せいしんてきはっかん、Mental sweat)
精神性発汗は、緊張、ストレス、不安などが要因となって、そうした状態になった時に一時的に局所に汗をかくこと。ストレスを感じた時などのほか、恥ずかしい時、興奮時、驚いた時、痛みを感じた時などにも起こる。また、寝汗も精神的発汗の一つと考えられる。
精神的発汗は手のひら、足の裏、わきの下、額など特定の場所に汗をかくことが多く、一般に、神経質、几帳面、完璧主義者、柔和、繊細な人に多いとされる。


静睡眠(せいすいみん, Static sleep)
静睡眠とは、赤ちゃん(新生児・乳児)の睡眠で、ノンレム睡眠の原型あたる睡眠のことである。すやすや眠っていて、眼球も体の動きも見られず、呼吸もゆっくりしている状態である。成長とともにノンレム睡眠へ移行する。
レム睡眠とノンレム睡眠は脳波の違いにより識別されるが、新生児や乳児の頃はまだこのような脳波にはなっておらず、眠りは「動睡眠」「静睡眠」「不定睡眠」の3種類に分けられる。


生体リズム(せいたいりずむ、biorhythm)
あらゆる生物機能でみられる時間的周期性。体の中に生まれつき持っている体内時計と外界の明暗や気温などの外的要因によって調整されるものと考えられている。


成長因子(せいちょういんし, Growth factor)
成長因子とは、動物体内において、特定の細胞の増殖や分化を促進する内因性のタンパク質の総称である。睡眠時に多く分泌される。良質な睡眠や十分な睡眠時間をとることが、成長因子の分泌を促す。


生物時計(せいぶつとけい、biological clock)
体内時計とも呼ばれる。生物は約1日の周期で繰り返される体内リズムを有している。これを制御しているものが生物時計であり。通常、外部(光など)からの刺激に頼らず、自律性により固有のリズムを作り出すしくみを指す。生物時計は高等動物のみならず原始的な細胞にも存在する。鳥類、哺乳類などでは脳内の視交叉上核という部位に生物時計が存在する。


世界睡眠デー(せかいすいみんでい、World Sleep Day)
世界睡眠医療協会が3月第3金曜日と定めた「世界睡眠デー」。日本では、睡眠健康推進機構によって毎年3月18日と9月3日が「睡眠の日」と定められている。目的は、睡眠に対する正しい知識の普及や睡眠健康への意識を高めること。9月3日は「ぐっすり」の語呂合わせからで、3月18日は例年、世界睡眠医療協会が定めた「世界睡眠デー」に歩調を合わせた活動を行っている。


セロトニン(せろとにん、Serotonin)
セロトニンは、脳から分泌される睡眠ホルモンであるメラトニンの原料とも言われ、ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑え、心のバランスを整える作用のある伝達物質。セロトニンが不足すると精神のバランスが崩れて暴力的になったり、うつ病を発症したりすると言われている。
人体中には約10ミリグラム程度があり、そのうち約90%は小腸の粘膜にある。体内の残り10%のセロトニンのうち8%は血小板に収納され、血液の循環を通じて体内を巡り、残りの2%が脳内の中枢神経に存在し、この2%のセロトニンが人間の精神面に大きな影響を与えていると考えられている。


宣言的記憶(せんげんてききおく、Declarative memory)
記憶は記憶できる時間により、感覚記憶、短期記憶、長期記憶に分類でき、そのうち長期記憶は、宣言的記憶と非宣言的記憶に分けることができる。このうち宣言的記憶とは、言葉で表現できる様々な事実に関する記憶のこと。言葉で表現できるため、記憶について意識的に議論したり、宣言したりでき、陳述記憶とも呼ばれる。また、宣言的記憶は、特定の時間的・空間的(いつ・どこで)が位置づけできる出来事に関するエピソード記憶と、一般的な知識としての意味記憶に分類できる。
なお、長期記憶の統合や定着に睡眠の質が深く関わることが、近年の研究でわかってきた。


前向性健忘(ぜんこうせいけんぼう、Previous tropism poor memory)
何かのきっかけにより、ある時点を境にして、その時点から過去の記憶をなくすことを逆行性健忘というが、その時点から先の記憶をなくすことを前向性健忘という。交通事故や転落事故、殴られた際の頭部打撲による意識障害で起こるケースが多い。
また、ベンゾジアゼピン系の薬剤の投与によっても起こることがある。ベンゾジアゼピン系の睡眠薬では、服用前の記憶はあるものの、服用後の一定期間のことを記憶していないケースがある。特に薬剤の用量を増やしたときやアルコールと併用したときに見られることが多い。


浅睡眠(せんすいみん、Light sleep)
ノンレム睡眠の「睡眠段階1」または「睡眠段階1・2」の睡眠を指す。これは、「睡眠段階3・4」を深睡眠と呼ぶのに対して用いられる俗語である。


前脳基底部(ぜんのうきていぶ、Basal forebrain)
ノンレム睡眠は、デルタ睡眠誘発ペプチド、ウリジン、ムラミルペプチド、プロスタグランジンD2などの睡眠誘発物質が覚醒系を抑制し、前脳基底部のノンレム睡眠関連部位を活動させることによって現れるとされている。
また、ベンゾジアゼピン系の薬剤の投与によっても起こることがある。ベンゾジアゼピン系の睡眠薬では、服用前の記憶はあるものの、服用後の一定期間のことを記憶していないケースがある。特に薬剤の用量を増やしたときやアルコールと併用したときに見られることが多い。


せん妄(せんもう、delirium)
意識の混濁することに加えて幻覚や錯覚が見られるような状態のことで、急性の脳機能障害と言える。高齢者によく見られる。認知症とは異なるものの症状は似ていて、また、認知症と合併することもある。
健康な人でも寝ている人を強引に起こすと、同じ症状を起こすことがある。脳機能が低下しているときに強引に起こされると、軽い意識障害が出ることに加え、精神運動興奮や幻視などが見られる。
睡眠の観点からは、睡眠薬を大量に投与されたり急激に投与量を減らしたり中止したりしたときの退薬症候(離脱症状)として現れることもあるので注意したい。


走査仮説(そうさかせつ、Scanning hypothesis)
睡眠には、大きく分けてノンレム睡眠レム睡眠という二つの状態があるが、レム睡眠中は、非常に速い眼球運動(急速眼球運動)が頻繁に起こり、この睡眠中に寝ている人を起こすと、高い確率で視覚的にはっきりした夢を見ていたと答える。
このようなレム睡眠中の夢は視覚的な像に対して視線を移動しているために起こると考えることができる。これが夢の研究者には有名な仮説で、「走査仮説」と呼ばれている。眼が夢の像を追っているような状態のことで、夢の映像を追うから急速な眼球運動が起こるという仮説も可能となる。


総睡眠時間(そうすいみんじかん、Total sleeping hours)
実際に睡眠していた時間の総量。1日の総睡眠時間は新生児で16〜17時間、1歳児で12〜13時間、小児期で10〜12時間、青少年期で8〜10時間と次第に短縮し、青年期から中年期にかけて睡眠時間は7〜8時間でほぼ安定する。
その後は加齢とともに短縮する傾向にあるが、個人差があり、季節によっても変動する。


早朝覚醒(そうちょうかくせい、early morning awakening)
不眠症の主要な4症状のうちの一つ(他は入眠障害、中途覚醒、熟睡障害)。起きたい時刻よりも早い時刻に目が覚め、もう一度、寝ようとしてもなかなか寝つけない症状のこと。一般的には、起きたい時刻よりも早く目覚めてしまうことが週に3日以上あり、それが1か月以上続く場合に早朝覚醒の可能性が高いとされる。
高齢者に多く見られる症状だが、これは加齢に伴って睡眠パターンが変化するためで、生理的な現象といえる。また、うつ病の特に初期に特徴的な症状でもある。
日本では成人の約8%が早朝覚醒の不眠を経験しているという。



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